臨床心理士の信田さよ子さんが『母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き』を2008年に上梓して以降、「母との確執」を告白する女性著名人が増え、関連本も多く出版された。東日本大震災の影響で、家族の絆をもう一度深めるという流れの反作用として「毒母」という言葉も生まれている。

 そこで週刊朝日は、50代以上の母世代500人と、20~40代の娘世代500人に対するウェブアンケートを実施し、両者の本音と実態を探った。

 このアンケートでは、母と娘が、お互いをどう感じているかの「ズレ」を調べた。「『娘』とはどんな存在か?」という質問に、母も娘も1位は「家族の一員」だったが、2位になると、母は娘を「最愛の人」と思う一方、娘は母から「誰よりも頼れる存在」と感じていることがわかった。

 信田さんも、母娘関係における夫・父親の不在を心配し、「もっと妻をねぎらうべきだ」と訴える。

「母親にとって人生や精神面でのパートナーが娘になってしまい、何かとあてにし、相談する。母親は楽でも、娘には荷が重い。本来のパートナーは夫であるはずなのに、なぜそう思えないのか、なぜ一緒にいるのか。母親世代には自分の人生を振り返ってほしい」

 先日放送が終了した朝の連続ドラマ「あまちゃん」の1シーンでは、25年ぶりに会った娘(小泉今日子)に、母(宮本信子)が「悪かったな」と、親子の断絶のきっかけとなった出来事を詫びている。娘が言う。

「私、謝ってほしかったんだ。今わかった」

 それを見て、Gさん(40)は自分を重ねて泣いた。3人姉妹の次女のGさんは、母(78)からの愛情を感じられず、そのことを伝えたときの返事で心に大きな穴が開いてしまった。

「手がかかる子ほどかわいいのよね」

 母に悪気はなかったはずだ。だがGさんは「自分はかわいくない」としか思えなくなり、以後、母との折り合いが悪い。

「“あのときはごめんね”って言ってもらえたら親子をやり直せそうな気がする。謝ってくれるのかはわからないけど、それまで母には元気でいてほしい」

週刊朝日  2013年12月13日号