輸入食品には気をつけなければいけない。世の中でよく言われていることだろう。しかし、アメリカの米食品医薬品局(FDA)では、「安全性に疑問がある」として、輸入を差し止めた日本の食品がある。2012年1月から今年6月末までで国内の食品メーカーが大小合わせて約90社、のべ145品目となった。FDAは、食品や医薬品をはじめ消費者に身近な製品の違反を取り締まる組織だ。
欧州連合(EU)では、米国よりも詳しい具体的な違反内容や、廃棄や送り返すといった対応までが記されている。こちらは、のべ15品目となっている。米国よりも数が少ないのは、輸出量が少ないからだと見られているが、いずれにしても、この1年半で、「安全性に疑問がある」と指摘された食品は米欧合わせて160品目にのぼる。FDAは中国からの輸入食品については同期間で約3 千件の指摘をしており、それに比べれば少ないが、これが日本の食卓にも並んでいるかもしれないと思うと気になる。
FDAの指摘を内容ごとに分類し、多い順に並べると、最も多いのが「不衛生」で、「着色料」「表示不適切」と続く。最多の「不衛生」は全体の4分の1を占める。「不衛生な状況で製造、加工、または梱包されたと思われる」と指摘された例が多い。イワシをはじめ魚製品がほとんどだ。
指摘が2番目に多い「着色料」は、「不衛生」よりも若干少なかった。典型例は「安全ではない着色料を使用していると思われる」という指摘だ。『食の安全と安心』の著者で、米国の食の制度に詳しい鈴鹿医療科学大学薬学部客員教授の中村幹雄氏が解説する。
「米国では、FDAが認可している色素であっても実際に検査を受けて合格したものでなければ使えません。それを証明する番号がなければ通関を拒否される可能性があります」
※週刊朝日 2013年8月16・23日号