参院選でのねじれの解消を目指す自民党。その並々ならぬ意欲を象徴するような“事件”が党本部で起きている。党ぐるみでの「高市隠し」だ。

「『原発事故の死者はいない』など、高市早苗政調会長は失言が多い。選挙期間中にまた何か飛び出せば、一気に大逆風となります。そのため党本部が、応援演説に行かせないよう仕向けています。公明党からも『最大の不安材料は高市さん。とにかくマイクを持たせないで!』という要請があり、最終的に石破幹事長が『高市隠し」を決めたらしい」(自民党ベテラン秘書)

 7月4日の公示から12日まで、高市氏(52)が応援演説に行ったのはわずか3日。すべて地元・奈良県の新人候補へのものだ。同期間に同じ党三役である石破茂幹事長(56)は16都県、野田聖子総務会長(52)も7県を飛び回っているのに比べると、異常に少ない。

 自民党のホームページを見ると、参院選の「役員演説情報」のどこを探しても高市氏は載っていない。党三役でありながら「演説情報」から外されたのだ。政調会長室に聞いた。

「各地の経済界にマニフェストを説明する仕事を抱えているので、そちらに専念しています。ただ応援要請はたくさん来ていますので、今後は行きますよ」

 高市氏は数少ない応援演説とは別に、7月5日から公約の説明会を各地で開催している。しかし、毎日開催するわけでもないし、会も1時間ほど。応援演説に行こうと思えば、いくらでも行けるはずだが……。

 名古屋市内のホテルで9日、中部経済連合会に対して説明会を開くというので、真相を聞くべく向かった。会は全て非公開。入り口付近で待っていると、愛知県警のSPが飛んできた。

「部屋の前で待たないでください! とにかく外に出てください!! 事前に党本部からマスコミを入れるな、と言われているんです」

 仕方なく外で待っていると、高市氏がやってきた。SP5人、党職員3人がガードする“厳戒態勢”だ。高市氏になぜ応援演説をしないのかを尋ねたが、「大変すみません、時間がありませんので、失礼いたします」と言い、そそくさと車に乗り込んでしまった。

「すべての党務に党職員が同行し、記者と接触させないようガードしています。選挙が終わるまでは、あらゆる発信を防ぐ気でしょう。ただ、高市さんもそんな監視に嫌気がさして、一度『もう、ついてこないで!』と職員にキレたことがありました。投票日までおとなしくしているかは微妙です」(民放政治部記者)

 選挙応援は政治家の華。大胆な女性の登用といって起用したのだから、解放してあげたらどうですか。

週刊朝日  2013年7月26日号