具体的にはこんなことだ。コミュニケーションの中心になるチャットでは
・いつでも話しかけやすい状態を作るため利用頻度を落としすぎない
・メンションが来たら「後で返信します」など簡単にでもリアクションをする
・反対にやり取りがダラダラ続かないよう、イエス/ノーで答えられる質問を意識する…など
ビデオ会議では
・オフィスにいるメンバーも1人1台PCを用意して参加する
・同時に話すと聞き取れないため、ファシリテーター(進行役)を置くか話す人は挙手で合図する
など運用のルールを作った。その上で、オフィスにいるメンバーにしかわからない情報を減らす、「『察してくれ』は無理」「不安を抱えておかないためにも、積極的に書く」など共通認識を浸透させるようにしている。
新型コロナウイルスの世はで早急にリモートに切り替えざるを得なかった企業も、社内の声を集めてより良い環境をつくっていく努力が必要だということだ。そのための担当者やサポート窓口の設置など、組織づくりも欠かせない。
1月下旬から4000人を在宅勤務にしたIT大手のGMOインターネットグループも、開始から1週間後にアンケートを実施し、2月下旬に結果を公開した。在宅勤務体制について、9割近くが「とても良かった」または「良かった」と答え、おおむね高評価だった一方で「一般事務」でマイナス評価が多いなど職種によっても差が出ていることがわかった。また業務に支障があった点は、通信環境や机や椅子の未整備などの作業環境面、紙ベースの業務に支障が出るなどの業務面、コミュニケーションの減少などの意思疎通面など、課題が浮き彫りになっている。自由記述では、
「本当に必要な会議に絞られたと思う」
「対面での営業を主軸にしていた営業マンがネット商談に着手するきっかけとなった」
といった業務改善も見えてくる。
700人がリモートで働き、これまでに都内の中小企業を中心に累計1000社以上のテレワークのコンサルティングやオンラインアシスタントサービスを提供してきたキャスターも、2月下旬にリモートワーク導入のポイントを公開。「必ず実施するべき3つのこと」として、労務管理、コミュニケーションツールの導入、通信環境やセキュリティーリスクのチェックをあげている。代表の中川祥太さんは「うまくいかないときにリモートワークを言い訳にする企業」は、“成功”が遠のくと指摘する。