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いまだ出口の見えない香港情勢。長期化するデモの現場では何が起きているのか? 中国政府による分断工作の可能性を指摘するのは朝日新聞国際報道部記者の峯村健司氏だ。中国当局による二十数回の拘束経験や、ハニートラップの実態を暴露した『潜入中国 厳戒現場に迫った特派員の2000日』(朝日新書)の著書のある峯村氏が、TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」(2019年9月18日放送)で明かした、中国当局によるさまざまな圧力の手口を特別に公開する。
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荻上:今、香港が話題となってますけど、香港でも不思議な動きが市民活動をされる人の中から出てきています。例えば、先日香港に取材に行ったときに、市民から火炎ビンが投げられたと大きく報道されたわけですよ。でも、火炎ビンを投げている人物の写真をアップにした画像が香港で広がるうちに、どうもその人物が警察と同じ装備をしているようだとか議論が盛り上がって、結局、誰がどういう理由で投げたのかが分からないということになり、結構もめてるんですよね。つまり、デモをする人たちも疑心暗鬼になっている。実際、香港ではさまざまな中国当局者による潜入が行われているというのはあり得る話ではあるんですよね。
峯村:非常にあり得ると思います。まさに中国共産党的に言うと、「統一戦線工作」と呼ばれる方式があります。まず敵と味方を分断します。そして自分たちに近い勢力を取り込んで反中国的な人たちと戦わせるというやり方です
荻上:へえー。
峯村:それで言うと香港というのは、中国の統一戦線工作の一番のターゲットになっています。今、チキさんの言ったケースもそうですし、その前の空港占拠のときに、「環球時報」という中国共産党系メディアの記者とされる人がデモ隊に取り囲まれた話がご記憶に新しいと思うのですが、それも身分証明書とか調べてみると、国家安全省の人物だったのではないかという見方が出ました。そういう意味では、おそらく相当数の警察・公安関係者を香港の中に潜り込ませて分断させて、デモ隊の人たちを対立させて抑え込む、ということを考えているんじゃないかなという気はしています。