■国民的オーディション番組「PRODUCE101」とは?
韓国で社会現象を巻き起こしたオーディション番組「PRODUCE101」、通称”プデュ”。韓国のケーブルテレビ局Mnetの番組で、101人の練習生たちが視聴者=国民プデューサーの投票数によって絞られていき、最終的に11人のデビューを決める、というものだ。
2016年1月に、シーズン1となる「PRODUCE101」の放送がスタート。シーズン1は女子アイドルたちのオーディション番組で、最終的に選ばれた11人は「I.O.I(アイオーアイ)」としてデビューが決定した。
そして翌年4月から、男子版の「PRODUCE101 シーズン2」が放送開始。シーズン1以上に大きな反響を呼び、11人組のアイドルグループ「Wanna One(ワナワン)」が誕生した。
2018年、今度は日韓合作プロジェクトして「PRODUCE48」が始まった。韓国の女子練習生に加え、日本のAKB系列グループの参加という新たな試みを経て生まれたのが「IZ*ONE(アイズワン)」というグループだ。
そして、5月3日からは新シーズン「PRODUCE X 101」が放送を控えている。放送開始前から101人の練習生たちの写真や動画が公開され、ファンたちは自分の”1PICK(=推し)”を見つけるのに忙しい日々を過ごしている。
シーズン2からデビューしたWanna Oneは、韓国唯一のドーム球場である高尺スカイドームでデビューステージを行い、デビューからたった11日で地上波の音楽番組でチャート1位を獲得。さらに年末の音楽賞では、新人賞を中心に12の賞を獲得、化粧品のモデルを務めればそのブランドの1日の売上は35億ウォン(=3.5億円)というのだから、この番組がどれだけ大きな影響力を持っているかわかってもらえるだろう。
■「尊さ」が詰まっているからやめられない
なぜこの番組はここまでの反響を得たのだろうか。
もちろんさまざまな要因はあるだろう。自分の1票でアイドルの人生を左右できる体験ももちろんそうだが、一番は「尊さ」なのだろうと思う。
応募者には、さまざまな境遇の子がいる。事務所に入りたてのヒヨコ練習生、苦節ウン年のなかなかデビューができない練習生、事務所に所属せずに練習を続ける個人練習生、そしてデビューしたものの花開かずにくすぶっている現役アイドル……。ひとりひとりにエピソードがあり、ドラマがあり、夢があり、涙がある。すでに尊い!
番組では課題曲をこなして投票を繰り返していくわけだが、最初何もできなかった子が急激な成長を見せたり、能力が高い子がリーダーを任されて苦戦したり。どこを切り取ってもそこには“必死に頑張る姿”しかないのだ。うまくいっても、うまくいかなくても、頑張っている姿は無条件に尊い。そんな姿を見て、毎週涙を禁じ得なかったのはきっと筆者だけではないだろう。
とはいえ、1時間強の番組の中で、101人全員をまんべんなく映していくのは不可能だ。当然だが、視聴者には長く放送された練習生の印象が強く残る。そこは、Mnetのお家芸「悪魔の編集」にまんまとハマってしまうのだ。放送時間が多い子はその恩恵を受けられるが、時間が少ないと地獄という悪循環が待っている。
以前、シーズン2の脱落者が番組終了後に受けたインタビューで「自分たちも撮影をたくさんした。今回こそ映るだろうと思ったのに、放送を見たらほとんど映ってなかった」「カメラの前で涙を流せばいいのかと必死に泣いたこともある」「放送時間が少ないと『この子は頑張っていないのでは』と言われてしまうのがつらかった」と語っているのを見て激しく胸が痛んだ。先程も述べたように、101人全員にエピソードがあり、全員が頑張っている。頑張っていない子はいない。
■待ち遠しい新シーズンのスタート
「1pickの順位が上がった!」「わたしの1pickはなぜ映らない!」そう一喜一憂しながらプデュを観る。もはや毎年の恒例行事がまた始まろうとしている。
なんとなく食わず嫌いでこれまで観ていなかった人は、とりあえず1話だけ観てみるのはどうだろう。きっと練習生たちの尊さに引き込まれるはずだ。
「PRODUCE X 101」は5月3日23:00からMnetで日韓同時放送だ。ちなみにMnetの配信サービス「Mnetスマート」ならシーズン1~3もすべて観ることができる。
第2のWanna Oneは誰になるのだろうか。悪魔の編集に翻弄されながら必死に頑張る尊い101人を見届けようと思う。(文/mao)