──シンプルに聞きますが、現役選手を終えたら、監督や指導者になったり、タレントになったりしますか。

 あんまりシンプルじゃないですね(会場笑)。

──イチロー選手は、何になるんですか。

 何になるんだろうね。そもそもカタカナのイチローってどうなるんですかね。「元カタカナのイチロー」みたいになるんですかね。あれ、どうなんだろ。「元イチロー」って変だよね。いやイチローだし、僕。音が一朗だから。書くときどうなるのかな。どうしよっか。何になる。うーん……。でも監督は絶対無理ですよ。絶対がつきますよ。人望がない。本当に。人望がないですよ、僕。

──そうでもないと思いますけど。

 いやあ、無理ですね。それぐらいの判断能力は備えているので。ただ、どうでしょうね。

 ま、プロの選手、プロの世界というよりも、アマチュアとプロの壁というのが日本は特殊な形で存在しているので。今日をもってどうなんですかね。そういうルールって。どうなんだろうか。今までややこしいじゃないですか。

 たとえば極端に言えば、自分に子供がいたとして、高校生であるとすると、教えられなかったりというルールですよね。そういうのって変な感じじゃないですか。今日をもって元イチローになるので、それは小さな子供なのか、中学生になのか、高校生になのか、大学生になるのかはわからないですけど、そこには興味がありますね。

──さきほど引退を決めたのがキャンプの終盤という話がありましたけど、それ以前に引退を考えたことは。

 引退というか、クビになるんじゃないかはいつもありましたね。ニューヨークに行ってからは毎日そんな感じです。マイアミもそうでしたけど。ニューヨークってみなさんご存知かどうかわからないですけど、特殊な場所です。マイアミも違った意味で特殊な場所です。毎日そんなメンタリティーで過ごしていたんですね。クビになる時はまさにその時だろうと思っていたので、そんなのしょちゅうありました。

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