枝野幸男が本音を吐露「野党再編や党と党の合併は一貫して嫌い」

週刊朝日
森友学園
枝野幸男(えだの・ゆきお)/1964年、栃木県生まれ。東北大卒。弁護士を経て、93年に日本新党から衆院選に初当選。民主党政権で行政刷新担当相、党幹事長、官房長官、経産相などを歴任した。10月に立憲民主党を結党し、代表に就任 (撮影/写真部・岸本 絢)
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。早稲田大卒。ジャーナリスト。東京12チャンネル(現テレビ東京)などを経てフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を迎えた。『日本人なら知っておきたい天皇論』(小林よしのり氏と共著、SB新書)など著書多数 (撮影/写真部・岸本 絢)
(撮影/写真部・岸本 絢)

 民進党分解のドタバタ劇の中で生まれた立憲民主党が、水面下で蠢きだした野党再編のカギを握る。枝野幸男代表がジャーナリストの田原総一朗氏に吐露した本音とは?

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田原:2017年の国会は森友・加計問題で持ち切りでした。特に森友学園の問題では11月に会計検査院が、国有地の売却価格が8億円以上も値引きされた根拠が不十分だと指摘した。この問題はどう考えますか。

枝野:会計検査院の指摘によって、国有地の取引に問題があったことははっきりしました。もう、疑惑追及の局面ではないんです。安倍首相自身が検査院にチェックしてもらうと言っていたわけですから、その結論に基づいてけじめをつけなければいけない。ボールは政府にあります。

田原:ただ、安倍首相は国会でこの件について問われると「官僚たちが問題ないと言ったから、そうかと思った」という趣旨の答弁をするなど、まるでひとごとだった。
枝野:官僚たちの報告が間違っていたなら、官僚を処分した上で、監督責任のけじめをどうつけるのかを答えなければおかしい。そこにどう答えていくのかが、今後のポイントです。

田原:国会で国有地の価格を事前に提示したり交渉したりしたことはないと、事実と違う答弁をしていた財務省の佐川宣寿理財局長が、今や国税庁長官に出世している。野党や国民をばかにしているよね。

枝野:野党をばかにするだけなら永田町の狭い世界の話ですが、国民、納税者がばかにされているんです。今、野党は少数勢力で内閣不信任案を出しても通らない。今は国民運動を起こす局面だと思います。つまり、国民がみんなで税務署に声を上げようと。「あなたたちの長官は、資料を捨て、国会でいいかげんな答弁をしているのに、なぜ私のこの申告を認めないんだ」と。そうした声を草の根レベルで広げていくのが、ここからの仕事と思っています。

田原:どうも日本の国民はそこを諦めている感じなんですよね。安保関連法にしても学生たちの一部が立ち上がっただけ。米国や欧州なら大デモになりますよ。


枝野:野党が諦めたような姿を見せると国民も諦めてしまうので、そこは粘り強く徹底してやります。もう一つは、これは税金の無駄遣いであり、いわば生活に直結する話なので、国民の皆さんが自分の問題として考えやすいテーマです。これからの確定申告の時期に向けて、今までと違った広がりになる可能性があると思います。

田原:今、野党の論点がバラバラだと言われています。立憲民主党や共産党は共謀罪を廃止しろと主張していますが、希望の党や日本維新の会は乗ってこない。これはどう考えますか。

枝野:何がいけないのかと思いますよ。あらゆることで野党がまとまれるなら一つの党になっているわけで、意見が違うから党が違うわけです。反省を込めて言うと、民主党、民進党の時代は党内での意見の違いをなんとか一つにまとめていたので、国民から見たらはっきりしなかった。今は違いがはっきりしてわかりやすくなったと、ポジティブにとらえています。

田原:ただ、世の中にはバラバラではなく野党再編したほうがいいという意見がある。希望の党と立憲民主党が一緒になるべきだという意見はどうですか。

枝野:確かに、選挙のことを考えたら戦略的には自民党の対抗馬となる候補者を一本化したほうがいいし、最大限努力すべきです。でも、それと政党が一つになる話は全然意味が違う。考え方が違うんだから、違った姿をちゃんと見せるという潔さが今は求められていると思います。無理やり一つになれば期待が集まるというのは、幻想です。

田原:今は再編なんかは急がない、と。

枝野:もちろん、選挙のどさくさで違う党に行ってしまったけれど、立憲の理念や政策こそが自分に近い、という個人の方が入ってきていただくのは大歓迎です。希望の党の人が、枝野は入れてくれないんじゃないかと勘違いしているようなので(笑)。党と党の合併についてはそう言いましたが、個人はウェルカムです。

田原:立憲民主党の支持率は朝日新聞の12月中旬の世論調査では9%で、他の野党が5%以下に低迷する中、最も期待を集めていますね。何が支持率につながっているんだろう。


枝野:やはり、主張が明確に言いやすくなり、受け止めてくださる側も先入観なしにストレートに聞いていただけている、ということかと思います。

田原:一本、筋が通っている感じはするね。枝野さんが党をつくるとき、まっとうな政治がしたいと言いましたね。たとえば自民党は何がまっとうではない?

枝野:顕著なのは、立憲主義という土台をまったく理解していないこと。権力は国民から憲法を通じて与えられているわけで、憲法の枠の外に出たら正統性を失ってしまうんです。

田原:5月3日に、首相が突然、改憲案を言いだした。国会で説明しろと問われると、今ここにいるのは首相で、総裁としての改憲案は国会で説明できないから、読売新聞に載った自分のインタビューを読めと言った。何なの、これは。

枝野:政治がゲーム感覚なのではないでしょうか。敵と味方がいて、味方にさえ理解してもらえばいい。味方が権力ゲームに勝ちさえすればいいと。民主主義なので本当は反対している人を含めて全国民に責任を負っているはずなのに、その感覚がまったくない。

田原:国会で多数派ならばいいという発想なんですね。ところで10月の衆院選で、希望の党の小池百合子代表(当時)が「排除」をせず、民進党議員の全員参加を受け入れていたら、枝野さんは希望の党に行きましたか。

枝野:おそらく行かなかったでしょう。理念や考え方が違うと思いましたし、そもそも再編や党と党の合併は一貫して嫌いなので。1994年に新生党が壊れて新進党となったときも、2003年の民主党と自由党との合併のときも、僕は党内では最後まで反対派でしたし、16年の維新の党と民主党の合流にも反対でした。

田原:そうすると、民主党が民進党になったのも賛成じゃないんだ。

枝野:もちろん執行部として最終的には提案する側に立ちましたが、一番のブレーキ役だったのは一貫して変わりません。

(構成/本誌・小泉耕平)

週刊朝日  2018年1月5-12日合併号より抜粋