学校にある二宮金次郎像が、一夜にしてまだらに赤く染まってしまった。ある学校には、二宮金次郎像に異変が起きたのを見てしまうと、3日後に死ぬという噂があるという……。化学の知識でナゾを解く「科学探偵 謎野真実」シリーズでおなじみの謎野真実が「血まみれ銅像の呪い」に挑む! 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された「科学探偵 謎野真実 シリーズ 特別編」を公開する。


* * *
【事件編】
その日、宮下健太は朝早く登校した。うさぎ小屋のそうじ当番だったからだ。
校門に入った瞬間、健太はその異変に気づいた。
「ええっ? 銅像が血まみれになってる!」
昇降口の近くにある二宮金次郎像。全身黒ずんでいるその像の表面が、一夜にしてまだらに赤く染まっている。まるで体中から血が噴き出したかのようだ。
健太は、友達に聞いた話を思い出し、背筋が凍る。
――ある学校で二宮金次郎像に異変が起きたんだ。それを見た子が呪われて3日後に死んだらしい――。
不思議な話が大好きな健太だが、自分が呪われるとなれば話はべつだ。
「うわああ! 助けて!」
あわててその場から逃げ出そうとしたが、足を滑らせてころんでしまった。
「イテテテテ。まさかこれって……銅像の呪い?」
痛さと恐ろしさでパニックになる健太。そのとき、涼しげな声が聞こえてきた。
「健太くん、大丈夫かい? 銅像がどうしたって?」
マントをはおった美しい顔立ちの少年が、健太の顔をのぞき込む。健太のクラスメートにして、天才少年探偵の謎野真実だ。真実もうさぎ小屋のそうじ当番だったのだ。
健太を助け起こしながら銅像に目を向けようとする真実を、健太は必死にとめる。
「ダメだよ! 血まみれの銅像を見たら、真実くんも呪われちゃう!」
「呪い? キミは非科学的なことを言うね」
真実は口元に手を当てて平然と「血まみれの銅像」のほうを見る。
次のページへ「血まみれ銅像」は本当に呪いなの?科学探偵がナゾを解く!