6月12日に上野動物園で誕生したジャイアントパンダのメスの赤ちゃん「シャンシャン(香香)」が12月19日にいよいよ公開される。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』で、上野動物園のパンダの歴史や飼育繁殖の工夫について、教育普及係長の鈴木仁さんにお話を聞いた。

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 今まで日本の動物園で生まれ育ったジャイアントパンダは、上野動物園ではトントン(1986年生まれ)とユウユウ(88年)、そして和歌山県白浜町にあるアドベンチャーワールドでは良浜(2000年)から結浜(16年)まで15頭に上る。シャンシャンの誕生と成長はこれに続くものだ。

 そもそもなぜ日本の動物園にパンダがいるのだろう? 中国南西部の標高3千メートル級の竹林に暮らすパンダは、野生では1800頭ほどしかいないとされる。絶滅の恐れがあり、日本は中国と協力して保護に取り組んでいるのだ。

 1972年に初来日したカンカンとランランは、日中国交正常化を記念し、中国政府から「友好の証し」としてプレゼントされた。その後、世界で野生生物を保護する考え方が進み、75年にはワシントン条約が発効された。それからは、調査研究や繁殖目的以外の理由ではパンダの移動ができなくなった。今いるリーリーとシンシン(2011年に来園)からは、東京都と中国野生動物保護協会が提携を結び、共同研究を行うという形になった。その約束ごとは「繁殖可能な雌雄を預かり、保護のための資金を提供する」「生まれた子どもは2歳ごろに中国に戻す」こと。つまり、シャンシャンはこれから繁殖を担う大切なパンダの一員として、2歳ごろに日本を旅立つことになる。

■健康管理と繁殖を成功させる工夫とは?

 上野動物園では40年以上にわたり、飼育繁殖の工夫を続けてきた。「カンカン、ランランの時代と、今とでは、飼育方法が大きく変わった」と言う鈴木さんに、現在行っている主な工夫を教えてもらった。

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AERA dot.編集部
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