(3)中国のお金はOK! <平安時代>


 平安時代中期に、朝廷が貨幣をつくるのをやめたため、米や布でのやりとりや物々交換の時代が続いた。しかし、社会が発展してたくさんのモノが売り買いされ始めると、人々は、やはり便利な硬貨を使いたいと思った。そこで使われたのが、宋(中国)から入ってきた硬貨(宋銭、渡来銭)だ。日本の硬貨と同じ銅銭だが、当時の中国は超大国だったから、人々は信用したのだ。

(4)戦国大名が貨幣をつくった! <戦国時代>
 戦国時代になると、各地の戦国大名たちの中には、軍資金として金山や銀山を開発し、自分の領国内で通用する独自の貨幣をつくる者もいた。やがて天下を統一した豊臣秀吉は、全国の金山・銀山を手中にし、金貨や銀貨をつくらせた。

(5)徳川家康がお金のルールを統一! <江戸時代>
 江戸幕府を開いた徳川家康は、地方によってバラバラだったお金のルールを統一した。ただし、東日本では金貨、西日本では銀貨が使われ、庶民の普段の買い物では銅銭を使う「三貨制度」だったので、それぞれのお金を交換(両替)するために両替商が発展した。

(6)「円」が誕生し、紙幣を発行! <明治時代>
 明治政府は、お金の単位を「円」に改め、硬貨よりも軽くて持ち運びが便利な紙幣の発行を始めた。ただし、当初は、「金や銀と交換できる」という保証つき。やがて、昭和時代になり国や紙幣への信用が高まると、金や銀との交換を保証しない管理通貨制度になった。

(7)「見えないお金」の時代に <現代>
 電子マネーは、カードやスマートフォンなどにお金の情報を登録させたもので、お店のレジや自動販売機、駅の自動改札などに読み取らせて、お金と同じように使える。クレジットカードのほかビットコインなども含めた「見えないお金」が広まりつつある。

【キーワード】
<貨幣制度>
 お金の種類や単位、価値、発行や流通のしかたなどを国家が決めるしくみ。

<管理通貨制度>
 貨幣制度の一つ。国が、最適と思われる通貨(流通している貨幣)の量を決めて、管理・調節するしくみ。一方で、紙幣と金や銀との交換が保証され、金や銀の量から通貨の量が決まるしくみを、金(銀)本位制度という。

<ニセ金>
 ニセ金づくりは、貨幣制度のスタートと同じ時期に始まった。ニセ金問題を解決するための法律「撰銭令」が、幕府や各地の戦国大名から出され、織田信長も撰銭令を出した記録が残っている。

<ビットコイン>
 インターネット上で支払いや送金が可能な、現実のお金の代わりとなるしくみの一種。政府などの組織が管理しているわけではなく、利用者同士の信用により成り立っていることから「仮想通貨」ともいわれる。

(監修/公立鳥取環境大学准教授・泉美智子)

※月刊ジュニアエラ 2017年4月号より

ジュニアエラ 2017年 04 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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