2017年1月20日に、アメリカ(米)の45代大統領に共和党のドナルド・トランプ氏(70)が就く。議員や州知事など政治の経験がなく、ビジネス界で活動してきた異色の大統領だ。移民やイスラム教徒、女性らへの差別的な発言も繰り返し、批判を浴びている。これまでとまったく違うタイプの大統領が、なぜ誕生するのか。アメリカや、世界、日本にどんな影響があるのか。トランプ氏の言動に注目が集まる。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、朝日新聞社会部・岡雄一郎さんの解説を紹介しよう。
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2016年8月、小池百合子氏(64)が女性初の東京都知事に就任した。小池知事は、ニュースキャスターなどを経験して、1993年に衆議院議員に初当選。日本新党、新進党、自民党など多くの政党に所属し、環境大臣や防衛大臣も務めた。
2016年7月に衆議院議員から都知事を目指して立候補し、約291万票を得て当選した。ほかの主な候補と違って小池知事は政党の支援を受けず、「都民の視点で政治をして、東京を大改革する」と訴え、多くの都民に支持された。
就任後、小池知事はまず、築地市場(中央区)を豊洲新市場(江東区)に移す計画を先延ばしした。豊洲市場の場所は以前、土の中に有害な物質が見つかっていて、「安全を確かめる時間が必要」と考えたからだ。その後、安全のために建物の下に盛るはずだった土(盛り土)がないことがわかった。小池知事は、初めの計画とは違う形で建物がつくられた理由を調べ、安全の確認を続けている。
20年に東京で行われる五輪・パラリンピックの計画見直しも始めた。会場の準備に、多くの都の税金が使われるからだ。合わせて約1580億円もかかる三つの競技会場を、最大440億円減らせる案に見直した。大会全体の費用が当初、「3兆円以上」という予想もあったため、多くの人が見直しには賛成している。
小池知事は就任後から、それまで議論されていなかった問題を見つけ、考え直すことを続けてきた。これまでの都知事とは違う方法なので、テレビで放送されるなど多くの人から注目され、知事選挙で対立した政党も小池知事に反対意見を言いづらくなっている。
これからの課題は、考え直した問題をどう解決に導くかだ。築地市場で働く人たちは、イメージが悪くなった豊洲市場への移転を心配している。五輪の計画見直しを実現するには、海外の競技団体などとの話し合いが必要だ。これらの結果によっては、今は小池知事を支持している都民の気持ちが変わるかもしれない。(解説/朝日新聞社会部・岡雄一郎)
※月刊ジュニアエラ 2017年1月号より