私立小学校に入学するためには、受験の関門をクリアしなければなりません。“お受験”とどう向き合えばいいのか? いちばん気になるのはやはり試験(考査)の内容。近年の傾向や変化はあるのでしょうか。AERA English特別号『英語に強くなる小学校選び2017』で、専門家に話を聞きました。
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試験は、学校ごとに詳細は異なるものの、主に左の表の内容が中心となっている。なかでも近年重視されているのが行動観察だ。
行動観察は、集団でゲームをしたり制作をしたり、自由に遊んだりするなかで、コミュニケーション力や自己表現力、状況判断力、取り組む意欲、特性などを見るテストだ。
「行動観察が重視されるのは、年長11月時点の学力だけでは将来伸びる力を測れないと学校が考えるからです。学校生活を通して成長し能力を伸ばしていけるか、その原動力を見たいのでしょう」(幼児教室こぐま会代表・久野泰可さん)
勘違いしてはいけないのは、決してお行儀のテストではないということだ。
「『型』を教えこむ対策は学校側も批判しています」(同)
行動観察においてどんな子どもを評価するかという判断は、学校によって異なる。
「あくまで傾向なので絶対ではありませんが、たとえば、早慶であればリーダーシップのある子が合格しやすいとか、カトリック系の女子校であれば、少し我慢して人に譲れる子が評価されるなど、違いは確かにあります」(お受験じょうほう・野倉学さん)
大切なのは学校と子どもとの相性。子どもがどこに合うかを見極めることも重要だ。
「そのためにも説明会や授業見学会への参加は欠かせません。在校生を見ると、学校ごとに面白いほどカラーが違うことに気づきます」(同)
ペーパーテストも、知識を問うより、プロセスを重ねて粘り強く解かせるような問題や、体験をベースにした観察力や思考力を求める問題へと変化しているという。
「たとえば空間図形の問題は頭で考えると難しいですが、実際にもので試した経験を積んでいれば解けるようになる。知識重視ではなくなっていると感じます」(野倉さん)
こうした傾向から、幼児教室での受験対策だけではなく、家庭でどのような体験を積み重ねていくかも重要になると野倉さんは言う。
「どの学校も、『両親が子どもとしっかり関わり、しっかり遊んでください』と言います。よい体験を重ねることが、試験やその後の学習習慣の大切な土台となるのです」
(松岡亜希)
※「英語に強くなる小学校選び2017」より抜粋