大人になってから「母が苦手だ」と打ち明ける女性が多く見られます。女性が自分を好きと感じる自己肯定感や幸福感は、同性である母親の接し方が大きく影響するといわれ、その最初の分かれ目となるのが、9歳、10歳のころ。『AERA with Kids 秋号』(朝日新聞出版)では9歳、10歳ごろの女の子と母親の関係が将来にどう影響するか、詳しく解説しています。

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「親子関係というのは、母と娘、母と息子、父と娘、父と息子というそれぞれの関係の相互作用です。性別によって、お互いの影響の仕方も異なってきます。中でも、母と娘という関係は、母親が娘にとっていちばん身近な同性のモデルとなるので、影響は大きいのです」

 こう語るのは、目白大学心理カウンセリング学科の小野寺敦子先生。

「母親の姿は、将来、娘が感じる幸福感や充実感、結婚相手を選択するときにも影響を与えます。同性モデルとなる母親が、『どういう生き方をしているか』ということが、娘の将来の生き方に関係していくるのです」

 小学校低学年時代は、無条件に「ママ大好き!」の時期。生活も母親中心です。しかし、中学年~高学年になると、友達の存在が大きくなって、視野も広がり、冷静な目で母親を見るようになります。

「この時期の体や心の成長は、女の子のほうが男の子より早いのが一般的です。ですから、女の子のほうがよく観察しているし、理解している。そう考えると、9歳、10歳ごろの娘に対する母親の接し方というのは、とても重要といえるでしょう」

 では、この時期の女の子に対して、母親はどんなことを心がければいいのでしょうか。

「この時期、いちばん重要なことは、なんといっても家族の仲がよいことです。この時期に父親と母親の夫婦仲が安定していると、そばにいる娘はそれだけで心理的に安定します」

 自分のモデルである母親が、異性である父親と仲良しでいるかどうかは大きなポイント。娘の将来の結婚に対する考え方や、結婚相手の選択に大きな影響を与えるといいます。

「夫婦関係だけでなく、親子関係においても、風通しがよく、居心地のいい家庭であること。これだけで娘が将来抱く幸福感は変わってきます」

 夫婦や親子、きょうだい……。さまざまな家庭関係の中で、お互いが話しやすい状態にあること。たまにはけんかをしても、それぞれを大切に思い合っていること。そんな子ども時代のベースがあれば、娘は将来、大人になったときにも確固たる自己肯定感と幸福感を持つことができます。

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AERA dot.編集部
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