沖縄県では、例えば普天間(宜野湾市)のように基地が住宅街の真ん中にある、辺野古(名護市)のように海を埋め立てて新たな施設の建設が必要など、さまざまな問題を抱えています。しかし政府は、“日本とアジアの安定のために、米軍基地が必要”という立場から、「基地反対」の立場をとる沖縄県とは対立関係を続けています。かつて本土にあった基地が沖縄県に移っていった結果、必要以上にその負担を沖縄の人に背負わせてしまっているのかもしれません。日本に住む私たち全員で、この問題と向き合っていきたいですね。
■「反米・反基地」の声が基地移転のきっかけに
1960年代に起きた「ベトナム戦争」も移転の理由の一つだといわれています。アメリカとソ連(現在のロシアなど)が間接的にベトナムで争い、多くのベトナム市民やアメリカの若者兵士が死んでいったひどい戦争でした。日本でも学生などによる反戦運動が活発になり、「基地は出ていけ!」という声が高まりました。これに危機感を抱いた日米の政府は、本土にあった基地を次々とアメリカ領の沖縄に移していきました。
ベトナム戦争では、沖縄の基地が米軍の出撃地点になり、位置的にとても重要な場所でした。また、経済発展を目指す日本にとっても、米軍が国防を肩代わりしてくれることは都合がよかったのです。
(ジャーナリスト・堀潤)
※月刊ジュニアエラ 2016年5月号より
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