「本人のがんばりが足りない、と誤解されることも多いですが、これらの症状は認知機能の偏りのせい。周りの大人が理解することが大切です」
と宮尾先生。
「ほかの子と同じ一斉授業では習得が難しくても、言語聴覚士など専門家のサポートを入れたり、個別塾などで個々に理解しやすい指導を工夫して教えたりすれば、理解が高まる子は多いですよ」
発達障害といっても特性や症状の重さによっていろいろです。個人によって特性は変わりますが、現在は、主に以下の3種類の症状、障害に分類されています。
【ADHD(注意欠如・多動性障害)】
ADHDの子は幼少期によく動き回り、目が離せないことが多いかもしれません。小学校入学後は、授業中に集中していられない、時間通りに動けないなどで学校生活への適応が難しく"困り感" が増す場合も。一方、周囲の状況や環境によって行動を変化させたり、人と積極的にかかわったりする傾向もあるので、発想が豊かな子も少なくありません。
【ASD(自閉症スペクトラム症)】
以前は、自閉症、アスペルガー症候群など、5つに分類されていた広汎性発達障害が、2013年以降、「一連の連続体=スペクトラム」であると捉えられ、「自閉症スペクトラム障害」と言われるように。軽度~重度、知的能力が非常に高い人など幅広いが、「コミュニケーションと社会性の困難」「こだわり行動がある」のが特徴です。
【LD(学習障害)】
「読む」「聞く」「話す」「書く」「計算する」などにおいて、知的能力に部分的な遅れや困難がある障害。小学校入学後に授業のなかで徐々に不具合に気づくケースがほとんど。個人の努力で解決できるものではないため、その子に合った学習の方法を見直し、保護者や学校が理解をして学びの方法を考え、障害に配慮することが重要。
発達障害は治すものではなく、上手に付き合っていくもの。診断に一喜一憂せず、特性を理解し、社会に適応できるようサポートすることが大切です。(取材・文=玉居子泰子)
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AERA with Kids編集部