しかし、安倍政権では、不祥事や強引な政権運営が批判を浴びて内閣支持率が下落しても、しばらくすると回復するパターンが繰り返された。「国民はすぐに忘れる」。政権幹部は、そんな言葉を口にしていた。

 安倍氏の後継を決める自民党の総裁選では、森友問題などを「もう一度調べる」と再調査を訴えた石破茂元幹事長への賛同は広がらず、安倍政権の継承を訴えた菅義偉官房長官(当時)が圧勝。9月16日、首相に任命され、菅政権が誕生した。

 次の衆院選は有権者が直接、今後の政治や社会のあり方への意思を示す機会となる。その結果は、新政権の行方を左右することになる。

<集団的自衛権>
仲のいい他国が攻撃されたときにそれを応援するために、戦争に加わる権利。日本には、戦争の放棄をうたった憲法9条があるが、歴代内閣は、国民の安全を守る最低限の権利として、自衛隊による「個別的自衛権」の行使は認めてきたが、「集団的自衛権」は行使できないとしてきた。安倍内閣は、2014年7月、これを行使できるようにする閣議決定をした。

<特定秘密保護法>
国の安全保障の秘密情報をもらした公務員らに厳罰を科す法律。国民の「知る権利」が脅かされると反対の声も多い中、2013年12月に成立。14年12月に施行された。

<安全保障関連法>
歴代内閣が認めてこなかった「集団的自衛権」の行使を可能にする法律。平和憲法を骨抜きにするおそれがあり、反対の声も多い中、2015年9月に成立。16年3月に施行された。

<「共謀罪」法>
犯罪を計画段階から処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ法律。名称は「改正組織的犯罪処罰法」。実際に犯罪を実行していなくても、「準備をしていた」と見なされる場合、処罰される。2017年6月に成立。

(朝日新聞政治部・内田晃)

※月刊ジュニアエラ 2020年11月号より

ジュニアエラ 2020年 11 月号 [雑誌]

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内田晃
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