新型コロナウイルスの影響で、世界中の経済活動が停滞し、二酸化炭素など「温室効果ガス」の排出量も一時的に減ったといわれる。しかし、地球温暖化は止まらず、異常気象が世界中で多発している。小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ」12月号では、コロナ禍でも忘れてはいけない地球温暖化について報じた。
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2020年夏(6~8月)、地球の北半球は観測史上、最も暑かったと、アメリカ海洋大気局(NOAA)が9月14日に発表した。それによると6~8月の北半球の陸地と海面の平均気温は、20世紀の同時期の北半球の平均気温を1・17度上回った。地球全体で見ても、この3カ月は、観測史上3番目に高温だった。
日本でも20年8月の暑さは記録的だった。8月17日には静岡県浜松市で41・1度になり、18年7月23日に埼玉県熊谷市で観測された国内最高気温に並んだ。東京都心では8月の猛暑日(最高気温が35度を超える日)が11日を数えた。大阪市では7日連続で最高気温37度以上を記録した。どちらも観測史上最多だ。
アメリカでは、西海岸のカリフォルニア州などで大規模な山火事(森林火災)が発生し、20年9月15日時点で焼失面積は合計2万平方キロメートル(東京都の約10倍)を超えた。10月初めになってもまだ収束していない。その原因の一つに異常な高温と乾燥が挙げられている。
■森林火災とバッタの大発生はつながっている
実は19年から、世界中で記録を塗り替えるような異常気象や、それが招いたと考えられる災害が続いて起きている。
19年9月から20年2月まで、オーストラリアで史上最悪といわれる森林火災が起きた。背景には異常気象がある。19年はオーストラリアの年間降水量が平年の約60%と観測史上最も少なく、空気が乾燥。年間平均気温も過去最高を記録し、同年12月には記録的な熱波に見舞われた。森林火災の起こる危険性が増大していた。
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