2月13日の深夜に福島県沖を震源とする最大震度6強の地震が起きた。津波は来なかったが、10年前の記憶が頭をよぎった人も多くいただろう。10年前の東日本大震災では、福島第一原子力発電所の施設が壊れて爆発が起き、放射性物質が広い範囲にまき散らされた。あれから10年。小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ」4月号では、原発や日本のエネルギー政策について考えた。

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 福島県にある東京電力・福島第一原子力発電所では廃炉作業の真っ最中だ。鉄骨が露出し、建屋に作業用の設備が取り付けられている。トリチウムを含んだ処理水のタンク約1千基が密集している。しかし、肝心の、原子炉3基の炉心溶融で溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しも、処理水の処分もめどが立っていない。

 原発周辺には放射性物質で汚染された無人の地が広がっている。今も3万5千人以上が避難しているが、「もう戻れない」と諦める住民が増えている。

 これが原発事故10年の状況だ。かつて電力会社や政府は「日本では大事故は起きない」と言っていたが、今は大きすぎる破壊と汚染を前にして立ちすくんでいる。

 時間が経つにつれ事故の実相がわかってきた。事故では放射性物質が充満した格納容器が爆発寸前だった。爆発していれば「日本の3分割」が起きたとされる。汚染で住めなくなる東日本、住むことができる北海道や西日本の3地域への分断という恐ろしい話だ。日本を崖っぷちに立たせた事故だった。

 東京電力の元会長ら3人が裁判で刑事責任を問われている。3人は大地震の前に社内会議で、担当者から「高さ15mの津波がくる可能性がある」と明確に指摘されていたにもかかわらず、裁判では「私は十分には理解していなかった」「津波は想定外の規模だった」と繰り返している。自分たちがつくり、安全をPRしてきた施設がこれだけの事故を起こしても、日本はだれも責任を取らない社会であることが浮き彫りにされた。

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竹内敬二
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