コロナ禍で、レジャーも思うように楽しめない。こんなとき、自宅にいながら登山やカヌー漕ぎが楽しめたら、気分は一気に晴れそうだ。そんな夢を実現する「ボディーシェアリング」。小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ」4月号では、その技術の最前線を紹介した。

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 夏休みに家族と富士山に登るとしよう。めったにない体験だから、登山道を登っていくときの景色や、頂上にたどり着いたときの自分の姿を、友達や留守番をする家族にもリアルタイムで伝えたいよね。20年前だったらそれは夢の話だったけれど、今はスマートフォンがあるから、動画や音声を簡単に送れる。

 これに加え、上りの登山道で一歩を踏み出すときに足が感じる重たさや、靴を通して伝わってくる地面のザラザラ感、滑って手足をついたときの感覚なども伝えられるとしたら、どうだろう? 伝えられた人はキミと一緒に、本当に富士山に登っているような気になれそうだ。

 このように手足が感じる重さや抵抗感(押し返される感じ)などを、他人やロボットなどに伝えて共有する技術をボディーシェアリングという。

 この技術は、2010年に当時東京大学の大学院生だった玉城絵美さん(現在は早稲田大学准教授)が開発した「ポゼストハンド」という装置の登場によって生まれた。ポゼストハンドは、翌11年にアメリカの雑誌「TIME」の“世界の発明50”にも選ばれた。

●自分の手に他人が「取りつく」

 ポゼストハンドの原理を簡単に説明しよう。人が手や指を動かせるのは脳から電気信号が送られ、腕や手の筋肉がそれに反応するからだ。玉城さんは(1)手や指がさまざまな動きをするときに、脳から腕にどのような電気信号が送られてくるかを、細かな動きごとに確かめて、それをコンピューターに記憶させた(入力)。続いて(2)コンピューターが記憶したそれらの電気信号を手に送ることで、指示通りに手指を動かすことを可能にした(出力)。

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上浪春海
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