小幡 僕は、ゲームでみんなと対戦してみたらけっこう強いことがわかってすごくうれしかったんです。小学生でも中学生に勝つことができた。実は僕には弟が2人いて、どちらも成績もいいし運動もできるんです。僕ときたら学校には行ってないし運動も苦手。兄弟と比べる必要のないゲームによって、初めて自己肯定感が上がったような気がしました。そういう意味でも自分の居場所を見つけた!と思えた。だからなんにも自信が持てない子は、周囲と違うものをやってみるというのもひとつの手じゃないかな。
高濱 大勢の人がやっているものより、誰もやっていないものを見つけるというのはアリだよね。
小幡 好きなことなら没頭できるし、いくらでも努力できる。たとえ失敗しても続けられます。もちろん、何もその道のプロになれとか、将来の仕事につなげようとかじゃなくてもいいと思う。好きをきわめていく過程で世界は自然と広がっていくし、人とつながることもできる。それが大切なんじゃないかな。
高濱 そうだね。そして親の役割は、子どもが「自分の好き」を見つけられるようにすること。なかなか見つけられないかもしれないけれど、とにかく1回やらせてみる、見せてみる。
小幡 しかも今は、学校でなくてもそういうことができる時代になったんです。不登校は決してネガティブじゃない。
高濱 ネガティブではない。でもラクでもない(笑)。
小幡 はい、不登校は不幸じゃないけど甘くもないです。僕は、不登校になる前もなってからもずっと闘ってきた気がします。田舎に住んでいたせいで人の目もあった。ほかに居場所があったから気にならなかったし無視もできたけど。
高濱 確かに昔の不登校は、今よりもっと大変だったかもしれない。問題児扱いされていたんだろうね。
小幡 そう。昔はいかに登校させるか、だったけど、今では文科省も不登校児に対してさまざまな支援を提供するようになりました。もちろん学校が楽しいならそれにこしたことはない。なぜなら学校ってすごくコストパフォーマンスがいいから(笑)。勉強も運動も友達づくりも1カ所でできて援助も手厚い。効率がいいですよね。僕はゲームしながらフリースクールに行き、バイトしながら定時制高校に通い、起業後に推薦入試で大学生になりました。それはそれでけっこうたいへんだったけど、面白くもありました。今はそういうルート変更も可能だし、学歴といった一般的な評価軸も変わってきたことを知ってほしいです。今や学校がすべてではない、SNSでいくらでもつながれて、世界を広げることができる。
高濱 選択肢が多いのはいいことだね。
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