「親子で挑む険しい山登り」にもたとえられる小学校受験。新型コロナ感染症による影響で、昨年度の入試は波乱含みとなったが、首都圏の志願者数は増加した。『AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び2022」』では、「お受験」の最新情報を、専門家であるジャック幼児教育研究所理事・吉岡俊樹さんと、バレクセル代表・野倉学さんの2人に取材。志望校選びのトレンドついて紹介する。
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志願者数の増加に加え、近年重視される行動観察テストが「密」「接触」を避けた内容になったり、タブレットや動画を使って発問する学校が増えたりと、さまざまな変化が見られた2021年度の小学校受験。なかでも目立ったのは、受験者1人あたりの併願校の増加だ。「例年より10%増えた印象です」(吉岡さん)
併願数が増えた背景のひとつには、学校説明会のオンライン化がある。興味のある学校が複数あっても、これまでは説明会の日が重なると参加できなかったが、オンラインならアーカイブ視聴できる。
「忙しい共働き家庭でも、さまざまな学校の説明会を見ることができ、学校選びの選択肢が広がった。一方で、実際の学校の雰囲気や児童の様子が見られず、結果としてミスマッチが起きた、多くの説明会に参加し過ぎて、志望校を絞りきれなかった、といった声もあります」(野倉さん)
■試験時間の短縮や入試日分散で併願数増
また、吉岡さんは志願者数の増加について、「コロナ禍で出願時点での入試スケジュールが不透明ななか、ウェブ出願の学校が増え、『とりあえず願書を出しておこう』と考えたご家庭も多かったのでは」と分析する。
都内に住む家庭にとって、小学校受験は通常、9月下旬に埼玉県下の小学校を「腕試し」に、10月に神奈川県下の小学校、そして11月1日に解禁される本命の都内の小学校、というように、入試時期の異なる志望校を組み合わせて併願することが多い。
昨年のもう一つの大きな変化は、感染症対策として試験時間の短縮や入試日程の延期が行われ、併願できる小学校が増えたことだ。「たとえば、横浜雙葉小学校は例年ならお弁当持参で、午前から午後にかけて5時間近くにわたる考査でしたが、昨年はお弁当をなくして、時間を短縮しました」(吉岡さん)