息子さん、そして妻に対し、父親としてしなければならないことは、毅然とした態度で、息子さんが長い人生を生きていくうえで「本当に大切なものは何か」を伝えることです。
孔子は「巧言令色(こうげんれいしょく)、鮮(すくな)し仁」(学而第一、陽貨第十七)と言っています。
「巧妙な、飾りすぎた言葉、巧みな顔色、そういう事柄をもつ人物の中には、普遍的な愛の要素は少ない」という有名な言葉です。
ランドセルは、学習の道具を入れて学校と自宅を往復するための「学用品」だと私は思います。道具ももちろん大切ですが、それよりもっと大切なことは、「本当の素直さとは何か」「心から人や物を大事にするということは何か」ではないでしょうか。
愛する息子さんや妻のためにも、ランドセル購入で迷う心を、もっと深く高い見地から物事を見るほうにシフトしてください。
【まとめ】
善意も無理して行えば、虚偽になる。子どもには毅然とした態度で「普遍的な愛」を教えてあげよう
山口謠司(やまぐち・ようじ)/中国文献学者。大東文化大学教授。1963年、長崎県生まれ。同大学大学院、英ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。NHK番組「チコちゃんに叱られる!」やラジオ番組での簡潔かつユーモラスな解説が人気を集める。2017年、著書『日本語を作った男 上田万年とその時代』で第29回和辻哲郎文化賞受賞。著書や監修に『ステップアップ 0歳音読』(さくら舎)『眠れなくなるほど面白い 図解論語』(日本文芸社)など多数。母親向けの論語講座も。フランス人の妻と、大学生の息子の3人家族。
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