■「あなたが始めたいって言ったでしょ」は子どもには酷

矢萩:やり始めたからという理由で最後までやりなさい、というのはリスクがありますね。そもそも成長期の子どもって意見がコロコロ変わるものなんです。それなのに、「あなたが始めたい、って言ったでしょ」って子どもだけに責任を負わせるのは酷というもの。親は「これだけお金がかかっちゃんだから」とか言いがちなんだけど。

安浪:高校受験は大変そうだから中学受験を、という人もいるけれど、どちらかというと中学受験のほうが大変なんじゃないかと思います。

矢萩:僕も圧倒的に中学受験の方が大変だと思う。精神面はもちろん、身体的な成長段階における本人への負担のことを考えるとその影響は計り知れません。ただ、高校受験は内申点を取らないといけない、というのがあって。これが宝くじ並みに予測できない。その点において、中学受験の良さというか、分かりやすさはありますね。

安浪:そうですね。だからどちらを選んでもラクではない。どちらを選んでも真剣にぶつかっていくしかないよね、という話かな。

矢萩:質問者さんの、どこまで子どもに任せるか、という話ですが、子どもって、4年生と5年生と6年生ではかなり違うんですよ。4年生の時に「なんとなく受験したい」っていうのと6年生が「なんとなく受験したい」というのは「なんとなく」の度合いが全然違う。だから、以前はこう言っていたから、と思わずに、要所要所で確認した方がいいですね。

安浪:とはいえ、6年になっても自分の気持ちがわからない、表現できない子も多いですよね。

矢萩:そうそう。子どもによって本当に違う。成長するにつれて「受験したい」理由がしっかりあるか、もしくは「やっぱり嫌です」という理由がちゃんと言えるか。それがあれば子どもの主体性に任せてもいいと思うし、まだモヤモヤしているなら本人に任せっきりでは危ない。

安浪:本人の主体性もですが、家庭のスタンスもとても大事だと思いますね。子どもって11年、12年しか生きていないから、ものごとを総合的に判断するのが難しい。だから学校選びでも制服が可愛いから、とか学校の周りにこれがあるから、といった理由で選ぶことも多いんです。中学受験の意思に関しても100%子どもの意思に任せるのはリスクがあるかな、と。

次のページへ家庭では何を大事にするかをしっかり決める
前へ
2/4
次へ