「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。AERA dot.連載12回目の今回は、6年生を目の前にしても受験生としての自覚がない息子にモヤモヤしているお母さんからの相談です。
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■成長期の子どもは言うことがコロコロ変わる
安浪:お母さんが気合が入ってしまうのはわかりますが、子どもは1年先のことなんてまだまだ実感は持てないですよ。
矢萩:前々回にも話が出たと思いますが、成長期の子どもって言うことがコロコロ変わるんですよ。だからいちいち子どもの言葉に振り回されてはダメ。「受験をやる」って決まっていたとしても、折を見て「なぜ受験をするのか」という話をして、合意形成しておいたほうがいいと思います。
安浪:矢萩さんは「なぜ受験をするのか」に関しては、子どもにどんな方法でアプローチをするのですか?
矢萩:僕は「選択肢とその意味について考える」というのをけっこう時間をかけて生徒と話したりしますね。というのも、結局何かモヤモヤしている状態って、自分には今どんな選択肢があって、その先に何があるのかわからない、という状態だと思うんですよ。だから、今、君の前にはこういう選択肢とこういう選択肢があるよね。こっちに行ったらどうなる?こっちだったらどうかな?って大人側のアドバイスと子ども自身の認識をすり合わせながら考えていくんです。
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