●ハナアブの模型を使った実験装置で締め切り前日に新発見!
推測が正しいかどうかを確かめるため、二人は実験装置を作った。アーム(棒)を糸でつるし、片方にハナアブの模型を、もう片方に重りを下げて釣り合うようにしたものだ。ハナアブの模型には、実際のハナアブと同じ形の翅と翅基片がついていて、モーターではばたくようになっている。さらに、はばたき角と翅基片の翅に対する角度(翅基片角)も自由に変えられるようになっている。この装置を使うと、翅のはばたきで生まれる飛ぶ力の違いによって、前に進んだり、斜め上に進んだりするハナアブの動きを再現できる。もしも模型が真上に上昇すれば、ホバリングができたことになる。
二人は、翅のはばたき角と翅基片角をさまざまに変えて、実際のハナアブのように翅を斜めに傾けたままホバリングが起こる(模型が真上に上昇する)か確かめる実験を繰り返した。思うような結果はなかなか得られなかったが、JSECの提出締め切りの前日、はばたき角15°・翅基片角65°のとき、模型は真上に上昇し、ホバリングが起こることがわかった。放課後はほとんど毎日、夏休みや休日も費やした地道な努力が実ったのだ。二人はその瞬間、跳び上がって喜んだという。
以上のことからハナアブは、はばたき角と翅基片角を調節することでホバリングしていることがわかった。石橋さんたちは、この5月に開催される「国際学生科学技術フェア(ISEF)」にほかの7チームとともに日本代表として参加する。この素晴らしい研究が世界の人たちからどう評価されるか、結果が待ち遠しいね!
(サイエンスライター・上浪春海)
※月刊ジュニアエラ 2022年4月号より
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