それからフランスでは、いじめをした子どもと親と先生の話し合いが行われたり、アメリカではいじめをした子どもにアンガートレーニング(怒りと上手に付き合うための心のトレーニングのことだよ)や共感トレーニングを受けさせたりするみたい。一方韓国では、いじめをしたら奉仕活動をするように言われて、それでもいじめをやめなかったら出席停止や退学処分があるんだとか。

 海外では、いじめをしている子に問題があるという考え方が主流で、法律が学校のいじめにも対応しているところが多いみたいだね。たしかに全体的な仕組みを作ることがまずは大事なのかもしれないけど、それだけじゃ解決できないよな、ともよしおは思ったよ。

 いじめられている子にも、いじめている子にも、どうにか真心で向き合って問題が解決できないかな……とよしおも考えているんだけど、とっても難しい問題だね。法律が出てくるくらい、問題の根が深いいじめ。七ちゃんの勇気ある行動は素晴らしいけど、いまはその成果が出ていない。そして、もしかすると自分が標的になってしまう危険性もあるかも……悩むねえ。

■手を伸ばす方向を変えてみる

 助けたい、って人がいたときに、人は手を伸ばすよね。七ちゃんは手を伸ばしてその子を助けるために、先生にもSOSを出したし、いじめっこにも声を上げた。でも、その手が届かないのが、いまの七ちゃんの状況だよね。

 七ちゃんは、いまの自分にできることは精いっぱいやったと思うんだ。このまま同じ方向に手を伸ばし続けたら、きっと七ちゃんの肩が外れたり、手の筋が痛くなったりしてしまうんじゃないかな。人間の腕は2本で、長さも決まっている。自分だけでできることって、実はすごく限られていると思うんだ。

 それでも、七ちゃんは隣の席の男の子を助けたいんだよね。それなら、もっと別の方向に手を伸ばしてみるのはどうだろう? たとえば、学校の先生じゃなくて地域のお悩みセンターに相談してみるとか。一度相談した先生じゃなくて、違う先生や他の友だちに相談してみるとか。

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