親はわが子に「本が好きになってほしい」と願うもの。おうち時間の過ごし方を少し意識するだけで、読書は子どもの日常になります。本に詳しい花まる学習会・平沼純先生に、子どもが自然に本に向かうヒントを聞きました。発売中の「AERA with Kids2022春号」(朝日新聞出版)からお届けします。

MENU (1)居心地のいい場所を確保。好きなスタイルだから夢中になれる! (2)家族それぞれの「おすすめ」をプレゼンする機会をつくる (3)いつでも物語の料理を再現。子どもと作業ができるキッチン (4)テレビやPC、タブレット…さまざまなツールと連携

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 テレビやマンガ、動画……豊富なコンテンツは、いまや大人にとっても必要不可欠です。「魅力的なものがたくさんあるのに、子どもにだけ読書を強いるのは不公平ですよね。大人は、ついつい読書だけを特別扱いしがちです。でも、子どもにとっても読書は楽しいコンテンツのひとつであり、選択肢のひとつと位置づけるほうがずっと建設的。気軽に楽しみましょう」と話すのは、「本通」としても有名、講師を務める「旅する読書~大人のための読書講座」が大人気のスクールFC講師、平沼純先生です。

 子どもが本を読むために、時には「読書ではなく、『別の入り口』から入ってみましょう」と平沼先生。「興味のあることや好きなことを、見に行ったり、体験したりしましょう。すると、さらに知りたくなって、自分から本を読むようになります。これは家の中でも同じ。料理をしたりテレビを見たりと、読書につながる『種』は、たくさん見つかります」

 今すぐ本に向かわなくても大丈夫。日ごろから種まきにつながるアクションを続ければ、子どもの手は自然に本に伸びるようになります。

 そのあとは、出合った本と世界が「地続き」なことも体験してみましょう。本に書かれたことは、遠く離れた出来事のように感じられるものですが、「本に関連することを、実際に体験しましょう。物語の舞台となった場所を訪れたり、イベントに参加したり。おうち時間なら、物語の世界を再現してみたり。『自分の世界と本に書かれていることは、関連があるんだ!』ということがわかると、読書ががぜんおもしろくなります。本だけで完結させるのはもったいないですよ」と平沼先生は話します。

 では、子どもが本好きになる、おすすめの4つのアクションを紹介します。

(1)居心地のいい場所を確保。好きなスタイルだから夢中になれる!

 寝そべったり、ソファでくつろいだり、階段の途中に座ってみたり……。読書スタイルは、多少お行儀が悪くても、気にしない。だんだん「今日はここで読もうかな」「あそこで読むと気持ちよさそう」などと、本を読むスタイルを子ども自身が見つけるようになります。

(2)家族それぞれの「おすすめ」をプレゼンする機会をつくる

 パパが夢中になっているシリーズや、ママが今はまっている本。親が好きな本は、子どもも知りたいものです。そこで、家族それぞれの「おすすめ」をプレゼンしあうのも楽しい。「親がいっしょに本を読むことは、なにより本好きへの近道です」

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AERA with Kids編集部
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