小川:ええ。「リビング学習をすれば頭がよくなる」みたいに、本来のリビング学習の意味からずれて広まっているのは問題だなと思っています。

くわばた:なるほど。そうすると、テレビの音がうるさかったり、小さい子がいたりするうちの場合は、やっぱり勉強をする場所としてはよくないんですかね?

小川:いやいや、やり方はいろいろあって、例えばきょうだいがテレビを見るのなら、お兄ちゃんは別の集中ゾーンに行って学習するとか、勉強タイムには「お兄ちゃんは今やることあるからこっちで遊ぼう」とスペースを分けてあげるとか。家族それぞれのタイムテーブルを考えて時間と空間を分けるとうまくいきますよ。

くわばた:家族それぞれの時間をやりくりすればいいんや。ところで、リビングでの「集中ゾーン」の作り方のコツってあるんですか?

「『誰が』『どう』使うかを考えると、収納方法が見えてきます」(宇高さん、撮影/鈴木芳果)
「『誰が』『どう』使うかを考えると、収納方法が見えてきます」(宇高さん、撮影/鈴木芳果)

宇高:集中するためには視界や音などの「まわりの刺激」が少ないほうがいいですね。例えば壁に向かって机を置くと、視界が遮断されて集中できるし、音の刺激を少なくすることで、集中力が高まることもある。そのあたりは、子どもの性格に合わせて、刺激の量を調整してあげるといいと思います。

くわばた:そういうことなんですか! そう考えると、リビングでの集中ゾーンの場所や机の設置の方法が見えてきますね。実はリビングで学習していると、すぐにぐちゃぐちゃになってしまうんです。学用品の棚も使いにくくて散らかっていて、そういう小さいストレスが勉強にも影響を及ぼしているんじゃないかな、と思って……。

小川:たしかに学習まわりの使いにくさは、集中力を阻害する要因になるので、そのストレスはないほうがいい。でも一方で、子どもは散らかして何かに集中しているときにすごく成長しているから、片付いてないことが悪いというわけじゃないんです。

くわばた:でも、片付けがいちいち大変で……。

小川:わかります。集中しているときには集中し、広げるときはワーッと広げて没頭し、終わったらもとのところに収まってきれいになる……。そんな日々を送れれば最高ですよね。

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