「オレが今、マリオ」石垣島の自然の中で
――息子さんの「言葉の力」を成長させたものは何だったと思いますか?
本や絵本はもちろんですが、息子が小学2年生の時に沖縄の石垣島に移住して、自然の中で思いっきり遊べたこと。それと中学・高校時代に6年間全寮制の学校で生活したことは、息子のコミュニケーション力を飛躍的に高めてくれたと思います。
――自然の中で遊ぶことと言葉の発達には関係があるんですね。
ものすごく関係があると思います。
もともと私の育児のバイブルは、児童精神科医の佐々木正美先生の『子どもへのまなざし』(福音館書店)なんです。その本の中で「子どもは子ども同士の遊びのなかでさまざまなことを学ぶ」と書かれていました。
でも、実際に子育てをしていると、子どもを友だちと遊ばせることがびっくりするほど難しいと気づきました。今の子は習い事も多くて忙しいし、子どもだけで遊べる場所が少ない。しかも「自然の中で」なんて、親も忙しいので簡単ではありません。
――それで、息子さんを連れて石垣島に移住を?
さすがにやりすぎですよね(笑)。でも私は自由業だし、母一人子一人なので決断も早かったんです。
島に来て、息子は毎日とことん遊んでいました。滝つぼに飛び込んだり、サトウキビ畑で鬼ごっこしたり、魚の釣り方を教わったり、異年齢の子と遊ぶので、「鬼ごっこで1年生には2回タッチしない」など独自のルールを作ったり。
そんな日々の中で体も心も育つけれど、言葉やコミュニケーション力もものすごく育っていったと思います。
――当時のことを歌った短歌もありますね。
島に来てしばらくたち、最近息子がゲームをしなくなったなと思ったんです。そのときに生まれたのがこの歌です。
ゲームよりももっともっとおもしろいものが自然にはありますし、遊びの中では幼いながらも自分の頭で考えて、言葉を交わし合って、伝えたり伝わらなかったりしながら成長します。ケンカになっても失敗しても、そこから学ぶことがたくさんある。
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