保護者にとっては実にありがたい仕組みですが、子どもにとってはこの短期間の人間関係が“やっかい”です。

 小学生の人間関係は主に学校に関わる場所と時間とで形成されます。学童っ子はさらに学童という場所と空間で別個の人間関係が形作られます。春から学童に通っている子どもは、学校での人間関係とは別に学童内での人間関係、付き合い方を身につけています。

 そこに夏休み限定で、新たに子どもが加わるとどうなるでしょうか。「もともと同じクラスだからすぐに打ち解けるはず」と大人は思うでしょう。ところがどっこい、学校とは違う空間で過ごした子どもたちの人間関係の中に、いくら同じクラスの友だちとはいえ夏の学童の間だけ加わる子どもには、なかなか学童の雰囲気になじめないことがあるのです。学校ではあれほど仲が良かった子が学童では別のクラスの友だちと仲良くなっていて自分とはあまり関わってくれない、ということもあります。

 夏休み期間だけ開設されるサマー学童においては人間関係がゼロからのスタートになります。全員が同じ学校で仲良しとは限りません。隣のクラブの子どもがいたり、別の小学校の子どもがいたりすることもあります。子どもの間でいくつもの小集団が生まれ、グループ同士で競り合ったり対立したりしつつ徐々にまとまった子どもの集団が形作られますが、そのころにはもう二学期が始まってしまうのです。

  子ども同士の人間関係のトラブルは決して軽く見てはなりません。同じ小学校に通う以上、学童で起きたトラブルが二学期以降も学校で持ち越されることになるからです。まずはトラブルが起きないように、「夏休みだけの利用が決まったら、すぐに学童に子どもと一緒に見学に行って学童に先に入っている子どもたちにアピールする」ことや、夏休み前の週末に一緒に遊ぶ機会を作ることをおすすめします。全員が夏休みで初めて一緒に過ごすサマー学童の場合は、すでに一番仲良しの子どもとなるべく一緒に過ごすよう、親同士で話し合っておくことが良いでしょう。もちろん、学童の先生に「人間関係が心配です」と先に告げて気にかけてもらうことも良いでしょう。

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