息子が英語を勉強したいと言い出したのもそのころだ。中学2年生のころだったと思う。小学生のときに無理やりやらせようとしてダメだったオンライン教材をもう一度やりたいとのこと。

 息子はアルファベットの大文字と小文字の練習からのスタートだったが、誰かにリアルで教えてもらうことはせず、オンライン教材のみで勉強をはじめた。自分からやりたいと言ってはじめる勉強は吸収がものすごく早くて驚いた。勉強とはこういうものなのかと実感した。

 オンライン教材は、誰かに気を使うこともなく戻したり早送りしたり自分のペースで進められるので、息子には合っていたようだ。一人で英語をやり、一人でトレーニングをやり、一人でサッカーをする。誰かと一緒に何かをすることはないのだが、毎日を計画的に息子がやりたいことをやる生活はそのころから今もずっと習慣になっている。

オンラインの通信制高校へ入学

 毎日穏やかな日々を過ごしていた息子だが、中学3年生になると進路の悩みや不安が出てきた。

 中学校に1日も通っていない息子は出席日数が足りないうえ、受験勉強をするというのはまったく想像できなかった。息子にとって週5日通うことはきつそうだし、公立高校を受験するという選択肢は最初から私にも息子にも頭になかった。

 今では公立高校以外にも通信制高校やサポート校などさまざまな選択肢があるが、2019年当時はまだ公立高校以外の進路はあまり知られていなかった。

 中学校の先生に相談してもほとんど情報をもっておらず「学校に届いたパンフレットをすべてください」とお願いすると、ダンボールいっぱいの資料が届き、どこの学校がいいのかわからなかった。

 独自にネットなどで情報を仕入れたり、自力でいろいろな人の話を聞きにいくなどして、候補の学校をどうにか3校にしぼった。3校とも受験らしい受験はなく、学校見学や1日体験に参加して検討した。

 その3校の中から1校に決めるときの息子の苦しみようは壮絶だった。というのも、入学するのに受験がないぶん「自分が何を学びたいのか」「自分は何が好きなのか」「卒業後は何をしたいのか」を突きつめないと、学校を決められないからだ。真面目な性格の息子はそこに毎日向き合っていた。

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