中でも岡本太郎さんの「太陽の塔」には感動しました。現在は予約制になっているようですが僕が大学生の頃までは直に触ることができたんです。大阪の大学に通っていた僕は、なにか考え事や悩み事があった時は万博公園へ行って、塔にもたれて考え事をしていました。僕のパワースポットだったのです。

大きなミャクミャクの像に驚きました」

――ミャクミャクと太陽の塔に共通点があるとか?

 実は、すごく意識しています。太陽の塔は、背中にも顔があるんです。ミャクミャクは、正面ではわかりませんが、後ろから見るとしっぽにも目がついているんです。しっぽの目も、真ん中ではなく少し斜めについています。これは、私の中で太陽の塔をオマージュしているんです。

 僕はこれまでもさまざまなキャラクターを手がけているのですが、キャラクターって、商品化しやすいようにシンメトリック(左右対称)にすることが多いのです。でも、ミャクミャクはロゴマークがそもそもアシンメトリックですし、左右の手の長さもちがいます。口もアシンメトリックに、立体的に見えるように描いています。人間でも左右対称はありませんよね。こうすることで、より親しみやすさがアップする。それが、子どもたちに人気の理由かどうかはわかりませんが(笑)。

――山下さんご自身は、万博に足を運びましたか?

 7月中旬に行ってきました。西と東の入り口に大きなミャクミャクの像がいたことに、まず驚きました。万博会場内のいたるところにもミャクミャクがいて、自分が机の上で描いた絵がこうして使われていることにも、良い意味で驚きましたね。
 キャラクターはあまたありますが、こんなふうに幅広い層の人に楽しんでもらえるキャラクターに「成長」したのが、なんだか不思議に感じます。これからのミャクミャクの活躍が楽しみです。

次々に新作が出るミャクミャクグッズの中でも、白Tシャツは安定の人気アイテム。(提供:2025年日本国際博覧会協会)
次々に新作が出るミャクミャクグッズの中でも、白Tシャツは安定の人気アイテム。(提供:2025年日本国際博覧会協会)

※関連記事<万博キャラ「ミャクミャク」デザイナーが語る子どもの”好き”の伸ばし方「僕は小5のときに絵で食べていこうと決めた」>に続く

 (取材・文/三宅智佳)

万博キャラ「ミャクミャク」デザイナーが語る子どもの”好き”の伸ばし方 「僕は小5のときに絵で食べていこうと決めた」
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三宅智佳
編集者・ライター 三宅智佳

編集者、ライター。出版社で女性誌の編集を経て、フリーに。ファッション誌や書籍を中心に活動、現在は「AERA with Kids」誌面の編集・執筆を多く手がけるほか、WEBでも子育てや教育分野、著名人インタビューなど精力的に執筆を行う。生活まわりのグッズや本紹介も得意。

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