公式キャラクターは、広報役も担うんだろうなと想像していたので、形を変化させることで多様性も演出できると考えました。「変化できる」ことにこだわったのは、ファンになってくださった人たちが、ミャクミャクをもとに自分たちのキャラクターを作れる「素(もと)」のようになったらいいな、と思ったんです。

 キャラクターが決まってから、今度は名前の公募がありました。僕も審査に入れていただいたのですが、「ミャクミャク」という名前を見たときに「この名前になったらいいな」と思っていました。日本語の「脈々」という言葉にかかっているところがとてもいいですよね。ロゴマーク、キャラクター、名前。みんなで順番に作って、それがつながって「ミャクミャク」が誕生したのだと思います。

とにかく「かわいく」。ユーモラスな面もプラスしました

――ミャクミャクは、子どもたちにも大人気です。

 先日、出張があり新幹線に乗ったのですが、帰りの新幹線でミャクミャクのTシャツを着ているお子さんを見かけたんです。「僕の絵だ!」と嬉しくなりました。思わず声が出そうだったのですが、黙っていました(笑)。

――でも、ミャクミャクがキャラクターとして発表された当初は、シビアな反応もあったのではないでしょうか。

 そうですね。一般的に、純粋に「かわいい!」と見える形ではないかもしれません。

 ミャクミャクのキャラクターデザインが採用されてから、僕はミャクミャクのイラストを29体描いています。会場で目にするさまざまなポーズのミャクミャクたちは、それがベースになっていると思います。

 そのポーズには一つひとつ「かわいらしさ」と「ユーモア」をていねいに足しました。手の位置や表情を意識して、親しまれることを目指したのです。ちなみに、ミャクミャクのしっぽは、歩くと揺れるんです。ここは意外にも皆さん気づいてくださり、話題になりました。嬉しかったですね。

様々な角度から見たミャクミャク。しっぽに目があり、足の裏は四角い。(提供:2025年日本国際博覧会協会)
様々な角度から見たミャクミャク。しっぽに目があり、足の裏は四角い。(提供:2025年日本国際博覧会協会)

――ミャクミャクのデザインを考案するにあたり、何か影響を受けたものはありますか?

 僕は、1970年に開催された日本で初めての大阪万博が大好きなんです。とはいえ、僕は1971年生まれなので、リアルタイムでは体験できていません。残っているものを見ることで、当時の万博の大ファンになったのです。アンティークショップやフリーマーケットで当時の万博グッズなどを見かけて、ワクワクしていました。

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