結婚3年目に訪れた倦怠期

――「ザ・理想の夫婦」ですが、喧嘩をすることは? 「夫婦の危機」みたいなものはあったのでしょうか。

 実は、希空が1歳、2歳ぐらいのときは喧嘩が多かったですね。今でこそ出会って19年、妻が何を考えて、次に何を喋るかも予測できるんですが、当時は結婚したとはいえ家族未満というか、まったく違う人生を歩んできた他人同士がなんとか一緒に住んでいる、みたいな状態でした。

 考え方が違うのは当たり前で、でも、そこでぶつかったからこそお互いのトリセツを肌で感じて、少しずつすり合わせていくことができた。あれは必要なぶつかり合いだったんだなと思います。

 でも、それを乗り越えた結婚3年目ぐらいかな。夫婦仲はちょっと冷めかけたけど、子どもは大事、みたいな、かなりよろしくない方向にいった時期があった。いわゆる倦怠期というか、子どもを介してしか話しをしなくなって、二人の間に見えないアクリル板ができて、スキンシップもなくなって……。

 そもそも僕は、妻に猛アタックされて結婚したんです。だからどこかに余裕があった。でも「あれ? 全然俺のほう、見てないやん」ってことに気づいて(笑)。このままだと心の距離も離れていく一方じゃないかという危機を感じて、勇気を振り絞って提案したんです。「昔みたいにハイタッチだったりハグだったり、普通にスキンシップしたいんだけど」って。

 正直ね、これを言うかどうか、相当、迷いました。やっぱりこう……男のプライドが邪魔をするんですよ。でも、そんな自分を俯瞰で見た時に「お前そのプライドいらんぞ」と思ったんです。それより、これからのほうが大事やから。

――奥様はどんな反応を?

「気持ちはわからなくはないけど、どうしていいかわからない」と。で、思い切ってお義父さんお義母さんに協力をお願いして子どもを預けて、妻の誕生日に二人きりで京都旅行に行ったんです。景色を楽しみながら腕を組んで歩いたり、のんびり食事を楽しんだり、ごく普通の他愛もない時間を過ごしたんですが「あ、こういう時間を忘れていたんだ」とお互い気づきました。

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