Q 近所の野良猫の赤ちゃんを、カラスがさらっていくのを目撃しました。私も息子もショックです。(T・Kさん/子ども8歳)

 私も、似たような話をSNSで読んだことがあります。赤ちゃん猫に襲いかかったトンビを、若い男の子が石をぶつけて撃退したのです。周囲の人たちも「ああ、よかった」と笑顔だったそうです。

 でも、逆の視点から考えてみましょう。猫を襲ったトンビは、子育て中だったかもしれません。たくさんのエサが必要ですが、環境破壊が広がるなかで虫や魚、木の実など、鳥たちのエサになるものが簡単に手に入らなくなりました。子猫は、トンビの親子の命をつなぐ貴重な栄養源だったかもしれないのです。

 石をぶつけられたトンビは、おそらく巣へ戻ることはできなかったと思います。エサを待つヒナたちも、生きてはいないでしょう。

 子猫がカラスに襲われていたら、もちろん助けますが、猫の赤ちゃんを守ることが正義で、カラスは悪だなどとは思わないでください。

 カラスもまた生きていくために行動をしている。どちらも一生懸命生きている。そのような視点で息子さんに話してあげるといいと思います。

★妙玄さんの動物保護活動を描いた『お世話させていただきます! 犬猫保護施設の奮闘記』を読む(全17枚)

(構成/神 素子)

【前編を読む】「ペットは飼い主より早く死ぬ、と子どもに伝えるべき?」 僧侶・塩田妙玄が答える、未来の「死」への向き合い方
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神素子
神素子

ライター じん・もとこ/教育系出版社を経てフリーに。雑誌・ウェブ・書籍などさまざまな媒体で、子育て、教育、医療、介護、高齢期などをテーマに記事を執筆。

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