「明日学校行かない」——。息子の突然のひと言から始まった、不登校の日々。著書『学校に行かない君が教えてくれたこと』(はちみつコミックエッセイ)で、現在中1の長男・もっちんとの“リアル不登校体験”を綴った漫画家の今じんこさんは、当時を「不安と困惑の毎日だった」と振り返ります。学校に行かなくなるまでの経緯や親としての葛藤、そしてうつ病と診断されるまでの心の変化を聞きました。※後編〈「“ダメな親”と言われても、それでいい」 SNS発の漫画家が語る“息子の不登校”と現在〉に続く
【マンガ】「学校を休ませる不安」など、今じんこさんのマンガはこちら(全38枚)「行きたくない」の奥にある心の声を聴くことが大事
――小学校に入学してまもなく、息子さんから突然「学校休む」と言われたそうですが、当時の気持ちを教えてください。
「え?」「は?」みたいな感じで、最初は言っている意味がまったくわかりませんでした。保育園のころは遊びの予定で休むこともあったので、その延長かなと軽く受け止めていたんです。でもよく理由を聞くと、「運動会の練習をやりたくない」と。まだ学校に慣れていないだけで、そのうち普通に行けるようになるだろうと、深刻に考えていませんでした。
――そこから付き添い登校が始まったんですね。
はい。「学校がすべて」と思っていたわけではなかったけど、いざ行き渋りが始まるとやはり動揺してしまって。仕事もあるし、毎日困惑しながら、なだめすかして学校に送り出していました。でも、朝になると火がついたように泣いて「行きたくない」と訴えてくるもっちんを見ると、無理に連れて行くのが正しいとは思えなくて……。日に日に拒否反応が強まり、ついに運動会の前日、初めて学校を休みました。
――運動会当日も、参加・不参加をめぐって揺れたそうですね。
前日に「頑張れるところまででいいよ」と話していたのに、いざ参加できたらうれしくなって、「せっかくだし最後までいようよ」って思わず言ってしまったんです。すると、もっちんが「無理…」と泣き出してしまって。「もう限界なんだ」と、そこで気づきました。無理して最後まで参加するより、親子の約束を守ることのほうが大事だと思って、早退しました。
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