美術に限らず、子ども時代から好きにさせてくれました。たとえば、空手がやりたいといえば習わせてくれて、やめたいといえばすぐにやめさせてくれましたし。

 英語の習い事にも通っていたので、中学時代はアメリカ留学も体験したんです。英語が全然話せないのに一カ月のホームステイをしたことは、僕の人生の中でいまだに重大な出来事の上位に入っています。そのときに、だいたいのことは「cool!」で乗り切れることも学びました。「ユースケ(キューライスさんの本名)、アイスはうまいか?」「Oh, cool!」「ポテトはどうだ?」「cool!」と(笑)。

 美術に関しては、作品をつくるために必要なものは、可能な限りそろえてくれました。僕の「好き」なことを認めてくれていたのだと思います。もし、「いや、これは無理かも」と思ったら、きっとどこかでストップがかかっていたと思うので……。

絵本は、親子で感想を話しあってくれたら本当にうれしいです

――絵本はいつから描き始めたのですか。

 大学でアニメーションを専攻していたのですが、授業に「絵本」の科目があったんです。もともと絵本が好きで、『かいじゅうたちのいるところ』や『三びきのやぎのがらがらどん』など、ちょっと怖い絵本をよく読んでいたこともあって、授業で学んで自分でも描いてみるようになりました。社会に出てからはしばらく映像の仕事ばかりしていたのですが、まんがを描くようになり、同時に絵本もまた描くようになったのです。

――ゴジラファンを公言されています。

 僕は、平成ゴジラの世代です。子ども時代は母と映画も観に行きましたし、ソフビや食玩、カードなどあらゆるグッズも集めていました。部屋の壁には「ゴジラ対モスラ」の絵ポスターを貼り、ゴジラの下敷きを使っていました。その当時、海での対戦シーンを再現したくて、お風呂に持ち込んだのはソフビです。大量の水があるのはお風呂しかありませんから、存分に遊んだ記憶があります。

――新作絵本『あっゴジラ』は、ゴジラのいる日常を描いた“ゴジラ公式絵本”で、ベランダから見えるゴジラがユーモラスです。大人が読むとクスッと笑ってしまう場面もありました。

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