そうですね。ベランダからゴジラが見えているにもかかわらず、部屋の中からお母さんが「おやつよ」と呼ぶと、子どもがさっさとそちらに行ってしまう場面とか。「え、いいの? ゴジラいるけど?」みたいな(笑)。
絵本はもちろん子どもに向けて描いていますが、大人の読者も喜んでくれるように意識しています。ですから、この場面は大人が見るとツッコミどころ満載なのです。でも、もしかすると子どもにとっては「え、おやつは大事でしょ」と当然に見えるかもしれませんね。
時が経つにつれてヒーロー的な側面も生まれたゴジラですが、もともとは怖い存在です。そこを「怖いけれど、ちょっとユーモアを出すとどうかな」とバランスを探りながら描きました。最後のほうにゴジラが近づいてきているところは「子どもが見て泣いちゃったらどうしよう」と心配だったんです。今も心配ですが。


絵本は、コミュニケーションとしての役割もあると思うので、ぜひ親子で読んでほしいです。そして、お子さんは発見したポイントを「ここになにかいるよ」「これはなに?」という具合にお父さんやお母さんに話してあげてほしいのです。
一緒に読みながら、大人が笑えば子どもも笑うし、逆も同様です。僕は、「子どもが笑ってくれました」「私も笑いました」といった、誰かが笑ってくれたという感想がいちばんうれしいんです。
――最後に、忙しい日々、どんなことでリフレッシュしていますか。
それはもう、サウナです。サウナは小学生のときから通っているので、ここ数年のブームに比べて年季がちがいます。もう、僕の夢はサウナを経営することですから。サウナと水風呂だけを求めている人のためだけの、孤高の会員制のサウナです。かけ湯をせずに水風呂に入ったら、即、会員証をはく奪(笑)。それくらい、ストイックなサウナを田舎で経営するのが夢です。
(取材・文/三宅智佳)
キューライス

