――個性を育てることは、子育てだけでなく、プロデュースでも大切なんですね。
ぼくがプロデュースさせてもらったチャットモンチーというガールズバンドは、デビュー当時、徳島から出てきたばかりでした。そのピュアさが魅力だったので、そのまま東京に輸入したかった。
実際、最初のライブのとき、彼女たちは全員靴下で演奏していたんです(笑)。学校の軽音部の部室が土足禁止だったから、靴下じゃないと演奏が不安だと言って。
――「靴を履け」とは言わなかったんですか。
もちろん言いません。逆に「それこそが、あなたたちの個性だよ」と伝えました。だって、個性って「人と違うこと」じゃないですか。
子どもなら、もっとそうです。
自分のどこが人と違っていて、何に価値があるかなんて、まだ全然わからない。だからその「違い」に大人が気づいたら、ちゃんと大切にしてあげたい。勝手にやすりをかけて丸くしても、その子が幸せになるわけではありません。
この先、その子がその子らしく幸せに生きていければ、それが最高なんです。
(構成/神 素子)
言葉にできない想いは本当にあるのか2
いしわたり 淳治


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