イベントの充実度や斬新さ、そして在校生たちが楽しそうにしている姿を見ることで、保護者は「自分の子どももこんな生活を送れるようになるのかもしれない」とイメージできるようになる。「御三家」「名門校」といったカテゴライズされたなかから志望校を選ぶというよりは、一人ひとりに合った学校を選ぶ傾向にあるように思います。
――それはなぜだと思いますか。
いまの子育て世代は、東日本大震災であったり、コロナ禍であったり、自分の力ではどうすることもできない、不自由な時期を経験してきた。少しでも充実した学校生活を送ってほしい、という気持ちがほかの世代よりも強いのだと思います。「中学受験が過熱している」と言われるのも、「進学実績の良い学校に行かせたい」というよりは「少しでも楽しく過ごしてほしい」という想いによるもので、そこが「過熱」という表現に繋がっているのかもしれません。思い描いていたように過ごせなかった時代を少しでもカバーしていきたい、という気持ちが、中学受験がヒートアップしている原因の一つであるのかもしれないですね。
保護者が求めているものと、学校側が発信している内容がうまくマッチしている学校はこれからも伸びていくだろうな、と思います。
保護者は大学入試の結果より「子どもがいかに充実して過ごせたか」
――実際に中学受験を経験された保護者からは、どんな言葉を耳にすることが多いですか。
「レベルの高い大学に行くことができた」という大学受験の結果よりも、中高一貫校に通って「部活を存分に楽しめた」「特徴ある授業が面白かった」「友達と長い時間を過ごすことができた」といった声を聞くことのほうが圧倒的に多いですね。「中学受験をして良かった」という想いと大学受験の結果は、あまり関係がないのではないかとさえ思うこともあります。人間関係のタテの繋がりを持つことの良さを口にされる方もいらっしゃいますし、6年間一貫した教育を受けることができることに魅力を感じている方も多いようです。
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