安浪:そうですね。小学校の勉強はちゃんとついていけているのかな、とも思います。中学受験の勉強は小学校の勉強よりだいぶ難しいし、本人にやる気があったとしてもどうにもならないところも正直あるんです。その基準としては、大手進学塾だったら小学校のカラーテストで楽に8割は取れるレベルでないと難しいと思います。塾の漢字や計算の小テストでもなかなかマルがもらえないというのは、多分テキストに何を書いてあるのか全然理解できていない状況だと思うんです。
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書字障害という可能性も?
矢萩:塾で今使っているテキストでも、学校の教科書でもなんでもいいので、1ページを丸々写して、それを自分で音読してみる、という基礎の基礎をやったほうがいいかもしれないですね。もう他の宿題などはうっちゃって、時間をかけてもやってみるべきです。ご相談の文面を読むと「ノートの字が読めない」とありますが、これはお母さんが読めないのか、本人も読めないのか……。もし自分で書いた字が自分でも読めないようなら、書字障害がある可能性もあります。親も気づいていないケースは結構ありますから、その可能性があるなら専門機関でちゃんと調べてみたほうがいいかもしれません。
安浪:中学受験を考えているご家庭のなかでも結構いらっしゃるので、そこは「うちの子がまさか」と思わずに、慎重に見てあげたほうがいいかもしれないですね。私も指導先でその可能性を指摘したことがあるのですが、親御さんが「うちの子がそんなはずはない!」と聞く耳を持ってもらえないことがあって。
矢萩:僕が以前いた受験塾でも4年生で鏡文字を書いている子がいました。それに対して塾側が個別対応はできないので、親御さんに「お子さん、鏡文字書いていますよ」とお伝えしたんです。そうしたら、「そうなんですか」という感じで、さほど重要視していない。下のほうのクラスだとこのように周りも気づかない状態で放置されてしまっているケースって、まあまああるんです。でも、字をちゃんと書く練習というのは親もできることだと思うんです。相手の言うことがわかって、自分が言いたいこともちゃんと伝えられるっていうインターフェース(二つの異なるものを繋ぐシステム)をしっかり作れないと、すべての学習が進まないんです。
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