いますぐその社会を変えることは難しいので、自分のできることを成しながら、だんだんと社会が醸成されることを願いつつ、「幸せに生きるための工夫・戦略」を考える必要があります。
不登校のメカニズムが個性×環境の不一致であると捉えると、一旦立ち止まれたことは大金星、不登校の期間はその子にとっての「その子が社会で幸せに生きるための、その子だけの特別カリキュラム」でもあります。
不登校の期間に、勉強とともに取り組んでおきたいことは、「自分を知ること・自分でいいんだと知ること」です。これができると、幸せに生きるための工夫・戦略を、より立てやすくなります。
自分を知ること・自分でいいんだと知ること
いまの自分を知る手がかり「何をして喜ぶか」「何ができたら嬉しいか」
自分を知ることは、実際に大人でもとても難しいですよね。
わからないまま大人になる人も大勢います。
答えはひとつではないし、いろいろな面があり、成長とともに変わったりもします。でも、「幸せに生きるための工夫・戦略」を考えるには、自分を知ることが不可欠です。自分を知らないまま真ん中に合わせ続けると、自分を見失うことになってしまいます。
私にとって、授業をすることは、相手を知るためのコミュニケーションの手段なのですが、その手がかりとして、「何をして喜ぶか」「何ができたら嬉しいか」を指標にすることがあります。
授業中の雑談の中で、直接生徒に聞くと、「ゲームをつくれたら嬉しい」「人の役に立つコミュニケーションロボットがつくりたい」「食べること」「ヘアメイクが好き。もちろん自分にするのも好きだけれど、誰かを輝かせるほうがとても嬉しいことに気づいた」「インテリアが好きだから、IKEA に就職できたら嬉しい」「僕は、憲法は美しいと思う。だから、法に仕えたい」「生き物が好きで、地球が好きだから環境を守りたい」「有名な大学に合格して彼女がほしい」「料理が好きだから、いまは、ミートパイを上手に焼けるようになりたい」「お母さんを安心させたい」……など、いろんな答えが返ってきます。
どれも本当に素敵だなと思うのです。
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