英語入試を導入する中高一貫校が増えています。首都圏では2024年度入試で、首都圏の私立・国立中高一貫校の約300校中、142校が実施しました。14年度では導入校は15校だったので10年で約9.5倍の増加です。英語入試が拡大している背景と、中学受験に与える影響を聞きました。
【図】2025年度入試で英語入試を新設した学校、2024年度の実施校はこちら(全12枚)女子中堅校から難関校へと拡大
2025年度から難関校・豊島岡女子学園(東京都豊島区)が、英語入試を実施すると発表し話題になった。「算数・英語資格入試」を新設し、4教科入試と並行しておこなう。算数の得点を200点とし、英語は英語検定試験(英検)の「みなし得点」を加えた、300点満点で判定する。英語入試は、比較的中堅校の導入が多かっただけに、同校の参入は今後の成り行きに影響を及ぼしそうだ。
グローバル社会を迎えて、英語のスキルアップは日本の課題のひとつ。20年からは小学3年生から英語の授業が必修化された。首都圏模試センター取締役教育研究所長の北一成さんによると、私学はいち早く動いていたという。
「英語入試が増え始めたのは、2015~16年ぐらいです。その前も実施していた学校はあったのですが、16年に山脇学園や大妻中野など、人気校が同時に導入したことで注目されました。20年から大学の入試改革が始まりましたが、私学はその先を見据えて、英語を評価しようという動きがあったのです」(北さん)
当時は中堅女子校が主流だった英語入試に、佼成学園、聖学院、東京都市大学付属など、男子校も参入。
「この数年間で劇的に変わってきたのが、男子校の英語の授業です。以前は英語教育といえば女子校が強いイメージがあったのですが、AIの活用やオンラインでのネイティブとの会話など、男子校の英語教育が格段に進化しています」(北さん)
17年度に千葉の難関校・市川が(現在は中止)、19年度から神奈川の難関校・慶應義塾湘南藤沢が英語入試を実施した。
「帰国生枠で英語入試を実施したところ、レベルの高い生徒が入学するようになり、英語入試の導入に踏み切った学校も多いと思います」(北さん)
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