「おかあさーん、お兄ちゃんがたたいたー!」「だって〇〇が僕のゲームとったからだよ!」……。日々のきょうだいげんかにストレスを感じていませんか? でも、きょうだいげんかは、小さな社会体験の場。見方によっては学びと成長がつまっています。きょうだいげんかでよく見かける例をもとに、その対処テクニックを大阪教育大学教育学部教授で保育士経験ももつ小崎恭弘さんに聞きました。
【図】上の子、下の子、ひとりっ子…きょうだいのポジション別向き合いポイントはこちら(全4枚)環境を変えると、一気に解決する場合もあります
――毎日、わが子のきょうだいげんかに疲れます。けんかをしない方法があったら教えてください。
子どもは、けんかしたくてけんかをしているわけではありません。だって、しんどいですよね、人と戦うって……。
保育の現場を例にとると、子ども同士のトラブルがなぜかとても多いクラスがあります。いろいろな要因がありますが、そのひとつが「モノが少ない」こと。たとえば、10人いるクラスに人形が3つしかない。これでは取り合いになりますね。そこで人形を人数分用意すれば解決するかと思いきや……人の分をとってしまう子どもも現れます(笑)。しかし、以前よりははるかにトラブルは減りました。
また「教室の中を走り回って困るんです」というケースもあります。でも、部屋をどーんと広いままにしていたら、子どもは走りたくなるものです。そこで本棚や机を部屋の真ん中にレイアウトして、物理的に走りにくい環境をつくる。そうすると、落ち着いて座れることもできるようになってきます。
このように、もし可能なら部屋を離してあげたり、カーテンやパーテーションで区切ってあげたり。ある程度年齢が上がれば、このように環境を工夫してあげるのも手です。子どもだけに「けんかするんじゃありません!」と変わることを強いるのではなく、環境やけんかの要因に目を向けることが大切です。
きょうだいげんかも「進化」します
――あるけんかがきっかけで、何日も口をきかない……こんな場合はどうしたらいいでしょうか。見ているこちらも息苦しくて……。
未就学から低学年くらいのけんかは、ストレートに手を出して、感情を爆発させる原始的なスタイルですよね。力で自分の思いを通そうとするものです。
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