「おもしろそうだな」「もっと知りたいな」……。非認知能力のひとつ、「知的好奇心」が働くと、それは「勉強」に影響を与えるといいます。非認知能力と学力の関係について、脳科学者の瀧靖之さんにお聞きしました。子育て情報誌「AERA with Kids2024秋号」(朝日新聞出版)から紹介します。
【図】非認知能力、認知能力の関係とは?認知能力と非認知能力は、重なる部分が多い
点数で評価できる力が認知能力、できないのが非認知能力。でも「脳科学の観点でいうと、このふたつは不可分なのです」と話すのは、脳科学者の瀧靖之さんです。
「認知・非認知能力は、重なる部分が多いのです。たとえば、非認知能力の“知的好奇心”は、自分の興味に対して『もっと知りたい』という気持ちです。好きだからこそ、失敗や努力があっても『それを得たい』と思う。これはまさに『勉強』ですよね」
脳には、考える、判断する、記憶するといった「高次認知機能」があるといいます。
「知的好奇心で『おもしろい』と思ったから考える、記憶する……。知的好奇心が高ければ、それは勉強につながるのです」
脳の構造からも、認知・非認知能力は関わり合っていると瀧先生。
「脳には、感情をつかさどる『扁桃体』、記憶に関わる『海馬』という領域があります。ここは位置も非常に近い。解剖学的にも密接に相関しているし、脳的にも連携し合っているといわれます。つまり、いやいや勉強をするとなかなか記憶に結びつきませんが、知的好奇心を働かせて学ぶと、趣味や勉強は覚えやすいということです」
成績の伸びは、自己肯定感と関係している?
さらに、勉強は「自己肯定感」も関係しているといわれます。
「成績がよければ自己肯定感が上がりますが、最近は自己肯定感が高ければ成績も伸びやすいという説もあります。また、人の話をきちんと聞いて、その意図をくみ取る『コミュニケーション力』も、勉強でいうところの“国語”や英語の“長文読解”につながるでしょう。つまり、非認知能力が高まれば、それが学業成績に反映されやすくなります」
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