お手本は『虎に翼』。ジェンダー問題の絶望だけでなく希望もセットで伝える
――「ジェンダー教育」や「性教育」を取り入れるにあたり、おすすめの方法はありますか?
私はSHELLYさんや産婦人科のお医者さま、性教育について発信されている方の言葉、それ以外にも国際セクシュアリティ教育ガイダンスを参考にしました。このガイダンスは、子どもの年齢によって伝えるべき内容が詳しく書いてあるので、この年齢でこのぐらいのことを理解してもらうといいんだな、というのがよくわかる道しるべだと思います。本が好きな子であれば、子ども向けでよさそうな絵本や本を本棚に差しておくと、子どもが勝手に手に取って自分ごととして読んでくれるので、おすすめです。
女の子の場合は、10歳くらいのある程度の年齢になったら、ジェンダー問題の構造を伝えつつ、絶望だけでなく希望もセットで伝えるのが大切だと思います。たとえば、NHKの朝ドラでやっていた『虎に翼』を一緒に見るのもとてもいいなと思いました。法曹界で女性の社会進出の道を開いた主人公を描いたお話ですが、以前、娘の友だちと一緒に遊んだときに、7歳の子たちが「感動した! めちゃくちゃいい!」って言うんです。ジェンダーを扱った映像作品を一緒に見て、女の子もこうして仕事をしていてもいいし、こういう人たちのおかげで状況は変わってきて、今も変えようとしている人たちがいると思えることが希望ですよね。
私はテレビでもYouTubeでも「女のくせに」みたいな言葉が出てきたときには娘に耳打ちをするんです。あまりに悪質でなければ見ちゃダメと制限はせず、気になる発言があったら発言した人の人格を否定をするのではなく、「ママは今の発言のこの部分はどうかと思う」というふうに伝えるようにしています。
――家庭内で、夫の劔樹人さんとの間で役割分担のようなものはあるのでしょうか?
うちは夫もジェンダーロールなどに反対の立場。私のほうが仕事で家を空けることが多いこともあり、料理はほとんど夫がしていますし、保育園の送り迎えもしていました。そういう意味では、女性が働く姿も男性が家事する姿も娘に見てもらえていると思います。ただそれは男女両方の親がそろっていないといけないということではなく、身近にそういう大人がいることが子どもにとって大きなことだと思っています。
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