「読み聞かせはいつまで行うものですか?」という質問に戻りますが、「○歳になったらやめよう」と、意識してやめることはないと思っています。

 教育の実践の場では、中高生に読み聞かせをしている授業もあります。また、研究でも小学校高学年までの読み聞かせが「語彙獲得」の面でも効果があることがわかっています。少なくとも、小学校高学年までは「言葉を覚える」という視点からも、読み聞かせはとてもいいことなのです。

「一人読み」になると、一気にハードルが上がる

――なるほど。読み聞かせに年齢制限はないのですね。

 そう思います。読み聞かせは読書だけでなく、親子の大切なコミュニケーションでもありますから。

 でも、読書は「自分で文字を読む」という状態になることで、一気にハードルが高くなります。それまではお父さんやお母さんと一緒だったけれど、とたんに一人になって、急に「違うこと」になってしまいます。読み聞かせと一人読みって、まったくの別物なのです。

 読み聞かせは、たとえ本が難しくても、読み手が補足することができます。一人読みになった瞬間に、わからない言葉がひとつ登場するだけで、物語が理解できなくなることもあります。つまり、読み聞かせを卒業すると、はじめて子どもの「レベルにあわせた本選び」が必要になるのです。

 でも、たいていは読み聞かせで難しい本まで読めてしまっているので、一人読みでも同じレベルが読めると勘違いしてしまうケースが多いんですね。一人で読むときは少しレベルを下げたほうがいいなど、コツはいろいろあるのですが。

 ですから、このタイミングで読書から離脱してしまう子どもって、本当に多いのです。

読み聞かせの発展バージョン「考え聞かせ」

――読み聞かせするときに、本の「読み方」も一緒に伝えられるといいのですね。

 そこで、僕たちは読み聞かせのほかに「考え聞かせ」という方法もおすすめしています。

 読み聞かせは、文字を追って声を発していくスタイルです。その最中、読み手は本を読みながら頭の中で「次のページになにが出てくるか」「この絵はなんだろう?」という具合に、頭の中でいろいろ考えながら読んでいますよね。

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