――今は小学校で3R(リデュース、リユース、リサイクル)について習う授業もあるみたいですね。

 社会科見学で最終処分場に行くこともあるらしいですね。実際に目で見ると全然違いますよね。僕、ごみ清掃員になって驚いたのが、誰とも目が合わないということなんですよ。だから、たまにマンションの管理人さんとかに「お疲れさん」って言われると、すごくうれしいんですよね。

 ごみを見ていると、顔が見える社会が作られていないということも実感します。例えば、魚沼産のコシヒカリが開封されないまま捨てられていたことがあって。僕の祖父母は新潟で農家をやっていて「ひざが痛い」「腰が痛い」とか言いながら農作業をしていたのを知っているから、心が痛むんです。誰が作ったのか、捨てたら誰が処理するのか。そういうことを知るだけで、行動は変わりますよね。

お金持ちの家はごみが少ない

――滝沢さんは小学生のお子さんが2人いらっしゃいますが、お子さんたちとごみの話はされますか?

 家で話すことはあまりないですけど、僕の講演を見たことがあるので知識はあると思います。子どもたちが通う小学校から依頼されて、講演に行ったこともありますし。

――お父さんが講演してくれて、うれしかったでしょうね。

 うれしかったみたいですね。子ども向けの講演では、クイズ形式にしたり、写真を見せて視覚でも楽しませたり、興味を持ってもらえるように工夫をしています。ただ、教えられるだけだと、実行するのはなかなか難しいですよね。僕自身も楽しんでごみを減らすようにしています。

子どもたちへの説明は、スライドを使ってわかりやすく!

――どうしたら楽しめますか?

 ごみ清掃員を始めたころ、お金持ちの家はごみが圧倒的に少ないことに気づいたんですよ。当時は本当にお金がなかったので、ごみを減らしたらお金持ちになれるんじゃないかと思って(笑)。それでどうやって可燃ごみを減らそうかと考えたんです。まず紙類は資源に回して。生ごみを堆肥にするコンポストを始めて、そこで処理することにしました。もともと燃やすごみの日には1回に3袋、1週間で6袋のごみを出していたのですが、今は1週間で1袋にまで減らすことができました。お金持ちになれると本当に信じていたわけではなくて、おもしろがって始めたら、結果的に6分の1までごみを減らせたんですよね。

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