反対を振り切って進んだロックの道 後悔はない
――3年後の高校受験については、どのようにお考えですか?
もちろん、応援しますよ。俺はあまり勉強をしてこなかった人間だけど、学校でいろいろなことを学び、知識を身につけるのは、良いことです。
それと同時に、勉強が嫌いなら無理して学校に行かなくてもいいんじゃないの?とも思っています。世の中を知る方法は勉強だけじゃないし、みんなが高校に行くからって同じ道を進む必要もない。ただ、学校に行かない場合、進路によってはマイナスからのスタートになる可能性があること、勉強以外のことで努力する必要があることは覚悟するべきです。
高校受験のもっと先のことを言うと、子どもたちにはそれぞれ好きな道を見つけてほしいですね。俺の両親は2人とも公務員で、息子の俺にも同じように堅実な人生を歩んでほしいと望んでいました。両親にとっては、それが一番幸せな生き方だったからそう望んだわけで、今は感謝もしています。でも、当時の俺はそう受け止められず、あるとき「俺の人生はこれじゃない」と思い、大学を退学してロックの道を選んだ。当然、親は大反対でした。
その後は大変なことがたくさんありましたよ。でも好きな道を選んだことは、後悔していません。もし、親父とおふくろの言った道をそのまま歩んでいたら、うまくいかなくなったときに、親のせいにしていたかもしれない。どんな道であれ、自分で選んで、そこで一生懸命やることに意義があるんだと思います。
――そういった考え方は、奥様も同じですか?
いや、教育に関しては、まったく考え方が違いますね。妻は真面目な人間だし、教育に対してもすごく熱心です。「これをやらせたい」という妻と「こんなにやらなくてもいいんじゃないか」という俺と、よくケンカもしますね。でもよく考えると、それはそれでいいバランスかもしれないですね。
夫婦のことでは、悩むこともありますよ。自分は妻には迷惑ばかりかけてきたし、自分のエゴを通してきた部分もありますから。息子たちは何も言わないけど、ママと一緒に暮らせない寂しさを感じているかもしれません。最近は、結婚とは人を成長させるためのものだと考えるようになりました。妻は俺の魂を成長させてくれる人。意見が合わないこともあるけど、この経験によって、また成長できるんだって思っています。
世の中を「ユカイ」にするのが自分の使命
――最後に、ユカイさんの今後の夢や目標があれば、教えてください。
まずは6月の学校の150年周年の式典を成功させることですね。息子たちも小学校を卒業しましたし、PTAの会長の職自体はもうすぐ次の方に引き継ぐんですが、150周年事業があるので学校はもう少し関わる予定です。
今後の目標としては、子どもたちを放課後預かる学童とかアフタースクールのようなものを始めようと考えています。 お父さん、お母さんが1人で子育てをしている家庭や共働き家庭を応援したいし、子どもたちのためにも、親が働いている間、楽しく過ごせる居場所を提供したいと思って。ロックシンガーとして「このかっこいい俺の歌を聞けよ」という感じでやってきましたが、父となり、PTAに携わり「みんなが喜んでくれることをしたい」という気持ちが、今まで以上に大きくなりました。
アフタースクールの夢が実現したら、そのオプションとして「人生で役立つエンターテインメントのスキル」を教える授業なんかも考えています。PTA会長をやっていて気付いたのは、人前で話したり意見を言ったりする場面では、発声方法やジェスチャーなどエンタメのスキルが役立つということ。エンタメの力を教育に活かして、世の中をユカイにしていく。「ダイアモンド☆ユカイ」という名前で世に出させてもらった自分の使命は、もしかしたらそんなことなんじゃないかと思うんです。
(構成/木下昌子)